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HIV-2の新しい定量法
論文紹介著者

山崎 さやか(博士課程 2年)
GCOE RA
微生物学・免疫学教室
第一著者名・掲載雑誌・号・掲載年月
Ming Chang/Journal of Clinical Virology・55巻・128-133・2012年10月
文献の英文表記:著者名・論文の表題・雑誌名・巻・号・ページ・発行年(西暦)
Ming Changa, Geoffrey S. Gottliebb,*, Joan A. Dragavona, Stephen L. Chernec, Donna L. Kenneyc, Stephen E. Hawesd, Robert A. Smithc, Nancy B. Kiviatc, Papa Salif Sowe, Robert W. Coombsa,b
Validation for clinical use of a novel HIV-2 plasma RNA viral load assay using the Abbott m2000 platform
Journal of Clinical Virology Vol.55, p128-133 October/2012
論文解説
概略
HIVにはHIV-1とHIV-2(※1)の2種類がある。HIV-2はHIV-1とは異なり、地域性があり西アフリカに集中しており、他の地域での感染者は少ない。このような状況下のため、HIV-2の定量法はHIV-1定量法に比べ開発が遅れているのが現状である。そこでこの研究では今までの定量法よりもより感度の良くHIV-2の定量法に適した方法を開発した。
HIV-2に感染した人に最適な治療をするためには、HIV-2の血漿のウイルス濃度を知る必要がある。使用している抗HIV薬が感染者に効果があるかどうかを調べるためである。しかし、臨床的に推奨されているHIV-2のウイルス濃度を測る方法はない。そこで、新しいウイルス濃度を定量できる機械、Abbot m2000sp/rt platform(※2)を用いてHIV-2がただしく定量出来るかどうかを評価した。標的部位はHIV-2RNAにおいてよく保存されているLTR(※3)領域を用いた。検体は電子顕微鏡で測定した国際標準株のHIV-2と臨床検体を用いた。そして、この定量法の精度、感度、特異度、線形範囲、正確さを求めた。結果、検出限界値は8 copies/mlとなり、今までの報告されている定量法の中で一番良い感度であることが分かった。またHIV-1との交差反応は見られず、今回の評価した定量法は、HIV-2のウイルス濃度を測るのに適した定量法だと言えた。
方法
Abbot m2000sp/rt platformを用いて患者の血漿検体を処理し、抽出したRNAを増幅させた。増幅産物はAbbot m2000sp/rtを用いて検出した。HIV-2 RNAの濃度はm2000rtソフトウェアを用いて計算した。
HIV-2 RNAの濃度測定に影響を与えるヘモグロビン、ヘパリン、ビリブリン、トリグリセリン等の濃度も調べた。
この方法の線形範囲を調べるため、国際標準株のHIV-2を10、50、100、1000、5000、100000、500000、1000000copies/ml希釈したものを用意しこれを増幅させた。
結果
検出限界値を調べるためにHIV-2 の標準株が20、10、5、2、1、0.5 copies/mlの濃度のものを準備した。10 copies/ml以上だと感度は100%であり、プロビットアッセイで計算すると検出限界値は8 copies/ml以上となった。
感度を測るために5000、50、10copies/mlのHIV-2 RNAを準備した。結果、低い濃度のサンプルは期待した値より高い濃度で観測された。これは検量線の平均値が低めになっていたことが原因ではないかと考えられる。
WHOは近年HIV-2の国際標準株を作った。国際標準株はInternatinal Unit(IU)で記載されているが臨床で用いられている装置はコピー数を用いている。HIV-2のIUとコピー数の関係はまだ報告されていないので,それを調べた。1000IUは平均152copies/mlであると測定できた。
ターゲットとしていない場所の増幅によっておこる擬陽性と擬陰性の可能性を調べるため40のHIVセロネガティブ(※4)な血漿を調べたところ、すべてがHIV-2が陰性となった。またHIV-1の存在がHIV2の検体に影響を与えるかどうかを調べるため、HIV-1RNA濃度が3.5log10copies/mlから5.6 log10copies/mlまでのものを準備して、実験をおこなったところ影響がなかった。更に、HIVが陰性でHBVとHCVを含んだ臨床サンプルで、HIV-2の検査を行ったところ陰性の結果を得た。
臨床サンプルの血液から阻害物質は溶血した血漿と黄疸血漿の中に観測されたがヘパリンや脂肪血漿では観測されなかった。黄疸血漿は4倍希釈、溶血血漿は64倍希釈すると阻害を与えなかった。
考察
この研究で用いたAbbott m2000sp/rt platformは感度が良く、臨床現場でHIV-2のウイルス濃度を管理するのに適していると言える。
用語解説
- ※1 HIV-2:
HIVにはHIV-1とHIV-2の2種類がある。HIV-2の感染はHIV-1と異なり地域性があり、西アフリカ地域に集中的に認められ、他の地域での感染は低い。日本でも報告されている感染者はまだ数名である。A - Gの7のサブタイプに分類される。 - ※2 Abbot m2000sp/rt platform:
血漿中のHIV-1のRNA濃度、HIV-2のウイルス濃度を定量するために作られた装置。 - ※3 LTR:
LTR(Long Terminal Repeat)はウイルスゲノム両端にある、ほぼ同じ塩基配列が繰り返されている領域である。 - ※4 セロネガティブ:
ここではHIV-2に感染していない血漿のこと。

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