慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム 幹細胞医学のための教育研究拠点
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Young Researchers' Trip report


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第35回日本分子生物学会年会

氏名

荒木 大輔
GCOE RA
生理学

詳細

参加日:2012年12月11日~2012年12月14日

活動レポート

GCOE Young Researcher Support Planのご支援により2012年12月11日(火)~14日(金)の日程で第35回日本分子生物学会年会に参加させていただきました。今年度の開催は福岡県にある福岡国際会議場・マリンメッセ福岡において開催であり、大学時代に北九州市に住んでいた縁もあり非常に参加が楽しみな学会でありました。

今年度の分子生物学会は福岡国際会議場での8会場にわかれてのワークショップと、また徒歩数分の場所にあるマリンメッセ福岡にあるポスター会場を行ったり来たりと忙しく歩き回るものでした。そんな中で非常に開催者が貸し出しを抽選で行っていたタブレット端末の存在は大きく、重いプログラム冊子をいちいち持ち運ばなくても、みたい・聞きたいワークショップやポスターが会場全体に張られているLANによってすぐ検索可能である点は非常に画期的でありました(私は抽選も外れ、タブレット端末も持っていなかったため冊子をぺらぺらとめくる羽目になり遅ればせながら端末の必要性をひしひしと感じました)。また学会のホームページ上では興味のあるワークショップ・ポスターの抄録が閲覧出来る様になっておりfacebookのように'いいね'とチェック出来る様になっていました。これによりどの会場で、いつ聞きたい・みたい発表がすぐ判りタブレット端末の威力が発揮される様でした。

まず今回の学会で私は、間葉系幹細胞の低酸素応答について発表をおこなって参りました。よってこの学会参加の目的として、(1)低酸素下での細胞に生じる現象についての研究について多くの情報を得ること、(2)間葉系幹細胞に関する動向を収集する、(3)他の研究分野について自分に応用出来る物がないか情報を収める、の三点に絞って歩き回ろうと決めて参りました。現在間葉系幹細胞における低酸素応答に関する研究は過去にも報告されてきていますが、あまり深く掘り下げられてこなかった経緯があります。

(1)として2日目の'低酸素バイオロジー;転写制御から細胞間ネットワークへと広がるハイポキシア研究の最前線'と言うワークショップでは多くの刺激的な発表がなされていた。特に感じたことは、次世代シークエンサーを用いた低酸素応答因子であるHifの新規ターゲットをChip-seq解析によって探索する仕事がいくつか散見されたこと、また低酸素シグナルが低酸素応答配列(HRP)近傍のクロマチン構造を変化させることによる細胞の低酸素応答を制御するのでは、との報告がなされていた。今後はやはり低酸素バイオロジーの分野でも網羅的な遺伝子探索と、エピジェネティック制御に関する仕事がメインになって来るであろうことが予想された。また自分と同様な現象について研究をしているグループがあり非常に驚くと共に、緊張感が一気にわいてきました。(2)に関しては私が興味を持つ間葉系幹細胞の自己複製、分化能に関する根本的な報告はみあたりませんでした。どちらかというと研究のためのツールとして間葉系幹細胞が用いられている印象でした。(3)に関する点としては放射線によるDNA損傷修復に関する報告が興味のある発表でした。低酸素環境下での放射線による間接的障害はどの様に修復が制御されているのかが非常に興味をひかれました。

話は変わりまして、博多は非常に食事がおいしいことで有名です。なんと学会期間中、低酸素を研究されている先生方の懇親会(飲み会)に急遽参加させていただけることになり非常に有意義な時間を過ごさせていただくことができました。ちなみにお店は水炊きで大変上品な味でおいしかったです。大学生の頃はラーメンばっかりで水炊きの存在すら知りませんでした。またこの会でお話をさせていただいた先生には自分のポスター発表の際に来て下さり、多くの示唆をいただくことが出来ました。これにより自分の研究内容に手応えを感じると共に、必要な実験が改めて明確になってくるのを感じることを感じた。

今回初めてGCOE Young Researcher Support Planのご支援の下、国内で4日間にわたる学会参加が可能となりました。この間ポスターセッションでいかに自分の研究内容をアピールするか、また数多くの研究発表の中から興味のある物を見つけ出すか、このような貴重な経験と今後の課題、目標を与えて下さりました関係者の皆様に心より感謝いたします。

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