慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム 幹細胞医学のための教育研究拠点
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Young Researchers' Trip report


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第71回日本癌学会学術総会

氏名

國本 博義
GCOE RA
血液内科

詳細

参加日:2012年9月19日~2012年9月21日

活動レポート

私は2012年9月19日から9月21日まで、第71回日本癌学会学術総会に参加した。今年は北海道札幌市のロイトン札幌、ホテルさっぽろ芸文館、札幌市教育文化会館での開催であった。私にとって今回は初めての日本癌学会への参加であった。初日は午後からの参加であったが、Plenary Lecture、Symposium on Specific Tumorsのうち"Topics of hematological malignancy"、そしてposter sessionに参加した。Plenary lectureでは小胞体ストレスに対する細胞の恒常性維持機構に関する基礎的な話題を傾聴した。私は元来臨床医という立場から、translational researchやclinical studyに目を向けがちであるが、癌の病態生理を理解するために正常細胞の生理機能を理解することの重要性を再認識した。"Topics of hematological malignancy"ではヒト臨床検体およびマウスモデルを用いた慢性リンパ球性白血病、悪性リンパ腫の病態解析、さらに近年進歩が著しいB・T細胞性リンパ腫の治療に関するreviewを拝聴し、リンパ系造血器腫瘍の病態解析研究、診断治療法の進歩の概況を俯瞰することができた。

2日目は、まずmorning lectureとして自治医大・東大の間野博行先生の「英語論文の執筆と投稿について」を傾聴した。講演のなかで拝聴した間野先生からのメッセージや執筆時の助言はいずれも分かりやすく、かつ実践的であり、morning lectureとしては異例の立ち見が出るほどの盛況ぶりであった。2日目の午前中はEnglish Oral Sessionsの"DNA methylation and biomarker"というsessionにおいて、自身の研究成果を英語口演した。演題名は"Tet2 uniquely regulates the function of fetal liver hematopoietic stem cells"であり、Tet2欠失による造血器腫瘍性クローンの発生機序について論じたものである。今回は私にとって初めての学会での英語口演であったが、昨年および本年と2回にわたり、GCOE主催のEnglish presentation skill workshopでDr. George J. AugustineにEnglish oral presentationの手ほどきを頂いた経験が大変参考になった。

今回の日本癌学会は、自身の専門分野以外の固形癌領域の研究成果や、正常細胞・組織の生理機能解析研究の潮流に触れる機会に恵まれ、大変新鮮な印象を受けた。また癌研究領域における造血器腫瘍研究の位置づけ、エピジェネティクス研究における自身の研究の位置づけを考えるよい機会となった。来年以降の日本癌学会でも自身の研究成果を発信しこの分野に貢献できるよう努力していきたい。

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