慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム 幹細胞医学のための教育研究拠点
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Young Researchers' Trip report


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Stanford大学短期留学

氏名

奥野 博庸
GCOE RA
小児科

詳細

参加日:2012年8月20日~2012年9月16日

活動レポート

2011年度Student Seminarで講演をして頂きましたStanford大学のJoanna Wysocka先生の研究室に2012年8月20日から9月16日まで神経堤細胞の誘導方法の習得および次世代シーケンサーを用いたChIP-seq解析を習得するために短期留学をいたしました。
彼女たちはChIP-seq技術を用いて神経堤細胞が発生過程においてどのような流れで分化能や遊走能を獲得するかを次々と解明しています。

Stanford大学はSan Franciscoから電車で1時間ほど南下したPalo Altoという町にあります。周囲にFacebook、Youtube, Apple, Intel, Hewlett-Packard、などの本社がありシリコンバレーとして有名です。Palo Alto自体は大きな街ではありませんが、全米で有数の高級住宅地で、とても治安が良いところでした。Stanford大学は全米でも屈指の広さをもつ大学で、宿泊していた場所は大学のすぐそばにあったのですが、敷地内に入ってから自転車で15分ほどかかりました。3310ヘクタールもの広さがあるとのことでした。敷地内には企業の寄付により建てられた建物が多くあり、中でもHewlett-Packard社のマークが付いているものがとても多く見られました。

Joanna先生たちのラボは2008年にBussinessWire社を設立したLorry I.Lokey氏が7500万ドルをStanford大学に寄付してできた建物に入っていました。新しい建物で、中には彫刻がおいてあり、とてもきれいな建物にありました。ラボがその建物の最上階に位置しており、見晴らしも良い大変良い場所でした。ラボは吹き抜けで作った長細い大きな実験室の角にありました。その実験室は4つのラボが入っていて、同じ空間をほかのラボの人たちと共有して研究しているというスタイルでした。ラボにはJoannaさん以外に、instructorのTomekさん(Joannaさんの旦那さん)、post docが5人(Student Seminarに来てくれたChrista、Eliezerと日本人のKaz、Ma、Alvero)、PhDコースの学生2人(Sara、Ed)、技官1人(Rajini)と、ローテート生として医学部学生1人とPhDコース1年生が1人、ラボに在籍していました(Stanfordでは医学部生の一部、およびPhDコースの1年目の学生は複数のラボを2カ月単位でローテートする制度がありました。) 私は1カ月間居ると言うことで、席を1つ用意してもらい、またChIP-seqデータの解析をする用にデスクトップPCを席に設置していただき、勉強させて頂きました。

神経堤細胞の誘導は、技官のRajiniとPostdocのKaz, Eliezer、PhDコースのSaraが行っていて、誘導を見せてもらうと共に実際に自分用に細胞を分けてもらい、分化誘導を行わせてもらいました。また誘導した細胞を回収して、ChIP-seq用のsamplingをしたり、sequencingをした後のデータを見やすく処理して、データをどのように解釈しているかなどを、実際に手を動かして教えてもらうことができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。

ラボのメンバーは毎週月曜日にJoanna先生と個別にmeetingをしていて進捗状況を報告し、また毎週金曜日に2名ずつpresentationをラボ内で行いdiscussionする場が設けられていました。私も月曜の個別の面談に毎回組みこんでもらい、習いたいことをちゃんと教えてもらえているか、なにか疑問に思っていることはないかなどを聞いてくれるとともに、金曜日に自分の研究を発表する機会を与えていただきました。

私がいた建物だけでも20近くの研究室が入っており、まわりにはもっと大きな基礎研究棟がいくつもありました。他の建物に入ると、至るところに研究成果を書いたポスターがあり、色々な研究室の研究をとても簡単にアクセスでき、素晴らしい環境だと感じました。

アメリカでは一般的なようですが、2週ごとにHappy Fridayといい、同じ学部の研究者が昼過ぎに大学の中庭に集まってビールと軽食を囲みながら交流するという習慣がありました。大学内のいたるところで、そういう集まりが見られ、Joanna先生の研究室も、所属するChemical&Systems Biology(CSB)の集まりに参加して、他の研究室の人たちと交流を深めていました。ちょうど私が滞在中にJoanna LabがHappy Fridayの準備担当となることがあり、巨大スーパーにいき食材を買ったり、準備をし、色々な人と交流したことは大変楽しい思い出となりました。

滞在の最後にはChemical&Systems Biology学部のretreatがAsilomarというPalo Altoから車で3-4時間行った海辺の場所で泊まりがけであり、参加させて頂きました。Retreatでは各研究室の人が口頭発表やポスター発表を朝8時半から夜6時まで行い、その後にみんなが集まりレクイエーションを楽しむというものでした。色々な研究室のPIの方々が率先してふざけて盛り上げているのが、とても印象的でした。

今回の短期留学では、普段は朝から夜遅くまで研究をアクティブに行い、私やローテートしている学生には土日でも多大な時間を割いて教えてくれ、逆にHappy FridayやRetreatのレクイエーションではいろんな研究室の人が入り混じって騒ぐという、とても魅力的な環境を体験することができました。海外の研究者たちを身近に感じることができたと共に、この機会に学んだことを生かして自分の研究を前進させたいと思いました。

最後になりましたが、この度はGCOE「幹細胞医学のための教育研究拠点」拠点リーダー岡野栄之先生をはじめ、多くの方々のご助力を頂きました。誠に有難うございます。

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