慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム 幹細胞医学のための教育研究拠点
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Young Researchers' Trip report


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54th ASH (American Society of Hematology) annual meeting

氏名

外山 弘文
GCOE RA
発生・分化生物学教室

詳細

参加日:2012年12月7日~2012年12月15日

活動レポート

今回、私はアメリカのアトランタGeorgia World Congress Centerにて、2012年12月のThe 54th ASH (American Society of Hematology) Annual Meeting and Exposition(アメリカ血液学会)でのポスター発表にあたり、GCOE Young Researcher Support Planを利用させていただきました。アメリカ血液学会は毎年行われており、今年が54回目という歴史のある学会です。また、例年参加者が2万人を超える大規模な学会であり、会場は大小いくつもの会議場が集まった大会場でした。今回、臨床から研究まで血液の幅広い分野において、最先端の研究内容の発表が行われました。


会場のGeorgia World Congress Center

私は会議初日のポスターセッションにおいて、"Role of N-Cadherin in the Regulation of Hematopoietic Stem Cells in the Fetal Liver and Bone Marrow"という題名でポスター発表をしました。本研究では、マウスの成体骨髄と造血発生期の胎仔肝臓において、造血幹細胞におけるNカドヘリンの担う役割について新しい抗体を用いて解析しました。その結果、成体骨髄ではNカドヘリン陽性造血幹細胞が陰性群と比較して静止期にあり、未分化性が高く、骨髄再構築能が高いことを見出しました。また、胎仔肝臓では造血幹細胞分画におけるNカドヘリンの発現が胎生12.5日齢から胎生18.5日齢にかけて減少すること、胎仔肝臓でのNカドヘリン陽性造血幹細胞が陰性群より骨髄再構築能が高いことなどを発表しました。

今回の発表は初めての国際学会の舞台での英語での発表だったので、とても貴重な体験となりました。その際、これまで様々なGCOEプログラムの会議や国内の学会において英語で発表してきたことが生かされました。また、大会場での発表であり、学会の参加者が多数いたので、ポスター発表の間中、人足はほとんど途切れることがなく、一人また一人と質問に訪れていただき、活発な議論を展開することができました。日本人の先生方も多くいらっしゃってくださいましたが、アメリカや中国、韓国など世界中の研究者に興味を示していただき、激励のお言葉やご指摘などをいただいたことは大きな収穫となりました。さらに、今回の経験を通して、他の人のポスター発表を見るときに、データの良し悪しは言うまでもなく、図表の配置の仕方や各文字の大きさなど、今まで気づきにくかったポスター発表での明解さの工夫が勉強になりました。


ポスター発表の様子

口頭発表では、Manz先生、Trumpp先生、須田先生によるScientific Committee on Stem Cells and Regenerative MedicineのStressed-Out Stem Cellsというセッションが印象に残りました。特に、最初のお二方が炎症反応における造血幹細胞の挙動をテーマに、LPSによる幹細胞の細胞周期の亢進、および炎症性サイトカインによる直接的、マクロファージなどを介した間接的な幹細胞への影響などが盛んに議論されました。正常の幹細胞の挙動については様々なアプローチから研究がなされているものの、未だ明らかになっておらず世界的な同意に至っていない点があるということを改めて感じ、今後のさらなる研究の発展に期待をしたいと思いました。

最後になりましたが、この場をお借りしてGCOEプログラムによる今回の若手支援に感謝いたします。

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