慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム 幹細胞医学のための教育研究拠点
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Young Researchers' Trip report


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共同研究施設訪問:University of Pittsburgh

氏名

門多 由恵
大学院生博士課程
(2010年度 GCOE RA)
一般・消化器外科

詳細

参加日:2012年9月23日~2012年9月27日

活動レポート

この度、2012年9月23日から27日まで、脱細胞化の手法を用いた肝再生医療の共同研究先であるピッツバーグ大学の研究所を訪問いたしました。

ピッツバーグはアメリカ東部のペンシルバニア州に属し、アレゲニー川とモノンガヒラ川が合流する三角州を中心に広がる都市です。古くは鉄鋼の町として栄え、現在ではピッツバーグ大学やカーネギーメロン大学等を有する学術都市としても有名です。ピッツバーグ大学医療センター(UPMC)は全米の中でも有数の医療機関であり、肝移植の祖であるThomas E. Starzl先生が現在も在籍されています。先輩である日本人医師たちが過去にこのStarzl先生の下で移植医療を学び、現在の肝移植医療を支えています。今回私は、UPMCの一部でChildren's Hospitalの一角にある研究室を訪れ、脱細胞化の手法を用いて作製した再生肝臓における現地での取り組みを見学させていただき、また、共同研究内容の確認、修正を行うなど有意義な時間を過ごさせていただきました。同研究所には肝細胞移植の世界的第一人者であるIra J. Fox先生、再生医療の中でも指折りの研究者であるAlejandro Soto-Gutierrez先生が在籍されています。Soto-Gutierrez先生と私に実験指導をしてくださっている八木洋先生とはMGH留学時代からの親友、共同研究者であり、今回両先生と同席してお話しを伺いつつ、脱細胞化の手法を基盤とした肝再生医療が日米両施設における協力体制のもと、着実に前進していく過程を実感いたしました。

脱細胞化肝骨格は、コラーゲンや液性因子を含有する細胞外マトリックスと脈管構築から成る3次元のバイオスキャフォールドで、新たな細胞培養の形態あるいは移植可能な再生肝臓グラフトとして基礎・臨床への応用が期待されています。現在、慶應義塾大学外科の先輩2名が同研究所に留学されており、このマトリックスの生物学的特徴を応用した研究、また、脈管構築を利用した生体内への応用研究に熱心に取り組まれている様子を拝見いたしました。また、同じUPMCに属するStarzl研究所では、30年以上この地でご活躍されている日本人女性外科医師、村瀬紀子先生率いる動物移植の様子を拝察することもできました。基礎研究と臨床医療の両立は難しいこともありますが、今回、先輩医師たちが外科臨床の現場で鍛えられた手術手技、また、肝移植医療に携わる医師として身に着けられた免疫抑制の知識をもってこの肝再生医療の基礎研究の場で活躍されている姿を目の当たりにし、改めて身の引き締まる思いが致しました。

最後に、この度肝移植に名高いピッツバーグの地を訪れ、研究の細部を現地で直接確認できましたことは、これから研究を仕上げ、移植班レジデントとして臨床を学んでいく上で大変に貴重な経験となりました。ご支援いただきましたGCOE「幹細胞医学のための教育研究拠点」拠点リーダー岡野栄之先生、同拠点Young Researcher Support Plan応募のためご推薦いただきました外科学教室北川雄光先生、ご自身の古き良き学び舎に快く送り出してくださった同教室田邉稔先生、急ぎ対応してくださったGCOE事務局の方々をはじめ、ご助力いただいた方々に心より御礼申し上げます。

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