慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム 幹細胞医学のための教育研究拠点
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Young Researchers' Trip report


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Neuroscience 2012

氏名

井上 賢
GCOE RA
脳神経外科/生理学

詳細

参加日:2012年9月18日~2012年9月20日(3日間)

活動レポート

神経領域の分野で最も大きな学会の一つであるNeuroscience 2012に、GCOE課題である「霊長類の脳梗塞モデルに関する演題が採択され、英語での発表の機会を得ることができました。

恥ずかしながら私はかなり英語が苦手なため、発表時の質問が聞き取れるかどうか、またすぐに答えられるかどうかが不安でした。今まで脳神経外科のテーマでは国際学会で発表したことがあるのですが、脳外科のテクニカルタームをつなげれば、聞かれた内容をなんとか予測可能です。今回は参加者が脳神経外科ではありませんので、かなり緊張しておりました。

採択された演題は、"Development and analysis of less invasive transient middle cerebral artery occlusion model on Common Marmoset"です。新世界ザルであるコモンマーモセットを用いて、中大脳動脈閉塞による脳梗塞モデルの作法を確立すること、そしてそれを解析することについての発表です。概要は以下の通りです。

脳梗塞は重篤な後遺症を伴うことがありますが、現在は有効な治療法がありません。新たな治療法の開発のため、げっ歯類を用いた治療法の報告は多く、その知見に基づいた臨床研究も行われていますが、ヒトではげっ歯類と同様の結果は出ず、霊長類による前臨床研究の必要性が認識されています。そこで我々はマーモセットを用い、低侵襲の脳梗塞モデルの作成を行うこととしました。確立できたモデルは、げっ歯類よりも脳梗塞の後遺症を残存しましたが、ヒトよりは自然回復がみられるモデルとなりました。まずは霊長類での脳梗塞における行動学的評価を確立しました。また、ヒトよりも早くて良好な自然回復の機序を検証することが、今後の脳梗塞治療の手がかりになると考え、脳の代謝の面から評価ができないかと思い、PET撮影を試みました。今までMRIを用いてマーモセットの脳梗塞を評価していましたが、今回試用したポジトロン核種で、より詳細な評価ができる核種を見つけることができました。今後は、このように作成したモデルを用い、脳梗塞や今後の治療効果のための評価方法の確立を目指したいと思います。

学会の会場は、名古屋国際会議場でした。そして発表は学会初日。私のセッションの聴衆者は日本人が多めでした。プレゼンテーションは、何度も練習したおかげか緊張もせず予定時間通りに話すことができました。そして緊張の質疑応答の時間。すると、日本人の方から「日本語で宜しいでしょうか?」と日本語で質問を受けました。私はそのため日本語で返答しました。ほっとして日本語で答えている私の様子を察してくれた座長の先生からも、日本語で質問して頂き、こと無きを得ました。

プレゼンテーションで伝えるべきことを伝えて来るという大目標は達したものの、幸か不幸か、英語での受け答えという課題は、達成されず仕舞いでした。次回のチャンスに持ち越しです。

この国際会議場ですが、中央に立派な騎馬像があり、思わずカメラ撮影。「スフォルツァ騎馬像」というらしく、レオナルド・ダ・ヴィンチが製作に着手したものの、未完成に終わった騎馬像です。

3日目の夜は、懇親会がありました。手羽先、てんむす、キシメンなど名古屋グルメが盛りだくさんで、舌鼓を打ちました。他大学の方とも交流ができました。 残念ながら、朝から夜まで学会会場にいましたので、観光はできませんでしたが、非常に有意義な3日間でした。

最後になりましたが、Neuroscience2012の出張をサポートしていただいたGCOE Young Researcher Support Plan制度に深く感謝申し上げます。

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