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リハビリって神経幹細胞も殖やすんです!
論文紹介著者

田代 祥一(博士課程 1年)
GCOE RA
リハビリテーション医学教室
第一著者名・掲載雑誌・号・掲載年月
Ariane Foret/Journal of Neurochemistry(112巻) 762-772ページ 2010年2月
文献の英文表記:著者名・論文の表題・雑誌名・巻・号・ページ・発行年(西暦)
Foret A, Quertainmont R, Botman O, Bouhy D, Amabili P, Brook G, Schoenen J, Franzen R. J Neurochem. 112:762-72, 2010
論文解説
近年、障害を負った人に対するリハビリテーションの重要性が広まっていますが、皆さんはリハビリというとどんなことを想像されるでしょう?スポーツ選手や骨折した人のように、ある程度元に戻るケガのリハビリをイメージする人が多いかもしれませんね。けれど実際の現場では、ずっと障害が残ってしまう病気や重いケガに苦しむ人のリハビリも大きなテーマです。患者さんになんとかして家に帰っていただくために、歩いたり、食事を摂ったり、着替えをしたり、トイレに行ったり、そういうとても基本的に思える動作の訓練をしたり、全く動かなくなってしまった手や足を少しでも動かせるように様々な取り組みがなされているのです。
ベルギーの研究者が報告した研究をご紹介しましょう。ここで紹介するリハビリの方法は、動物の身体を装置からつり下げて体重を何分の一かに減らした状態で歩かせるもので、実際に患者さんのリハビリでも用いられるような方法です。トレッドミルといいます。彼らは、訓練をさせたラットの脊髄で神経幹細胞が増えること、更に運動機能がよりよくなったこと、の2つを報告しました。訓練をするだけで実際に神経再生が促されるわけですから、リハビリをがんばっている患者さんたちに大きな希望を与える研究だと思います。
具体的な方法としては次のような形です。ラットという種類のネズミに人工的に脊髄の障害-これを脊髄損傷といいます-を加えます。この動物を、4週間のリハビリをする群、しない群に分けて研究しました。元々、大人でも脊髄の真ん中の中心管、という管の周りには、神経幹細胞に近い細胞がいることが知られています。その様子を免疫染色という方法で観察しています。脊髄損傷後には、その細胞が活性化されて神経幹細胞としての性質を備えるようになり、殖えることがわかりました。この時ラットにリハビリをやらせると、その細胞が活性化された状態を保つことができ、しかも数もより殖えることが観察されました(図1)。更には運動機能もそれに並行してよくなっていることがわかったのです(図2)。
リハビリ自体は既に広く行われていることですから、この研究はリハビリの効果がどうして上がっているか、その理由の1つを明らかにしたにすぎません。しかしこの研究が発展すれば、どのようにしたらリハビリの効果を上げられるか、例えば薬の開発とか、そういう更なる治療の可能性を拓くものだと言えるでしょう。

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