慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム 幹細胞医学のための教育研究拠点
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Young Researchers' Trip report


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2011 Joint Annual Meeting, SIICA DGfI

氏名

池尻 藍
GCOE RA
微生物学・免疫学

活動レポート

2011年9月28日から10月1日までの4日間、2011 Joint Annual Meeting, SIICA DGfIにGCOEからのサポートで参加してきました。この学会は、毎年イタリアとドイツの免疫学会が共同で開催しており、今回はイタリアのリッチョーネで行われました。海外には何度か行ったことはありますが、イタリアは初めてで、一人で海外の学会に参加することになり、まずは無事に学会場に到着できるか不安な出発となりました。ローマ・ボローニャと飛行機を乗り継ぎ、バスと電車に揺られて、ほぼ一日がかりでやっとホテルに着いたときは、安心感と、やればできるという自信が湧いてきて興奮して寝付けませんでした。学会場であるリッチョーネは、アドリア海に面したリゾート地で、イタリアやドイツの人たちがバカンスに来る場所です。そのため9月だというのに、海辺では日焼けをする人や、昼間からビールを片手におしゃべりに夢中になっている人など、のんびりとした雰囲気が漂う町でした。

私の発表はポスタープレゼンテーションだったため、自分のポスターの前に立ち、質問に答えるという形式でした。ポスターに興味を持って立ち止まってくれる人も何人かいましたが、最初のうちは英語という壁のために勇気が出ずに話しかけられるのを待っているばかりでした。しかし、隣のポスターの方から、「誰か立ち止まったら自分から声をかけなさい」というアドバイスをもらい、拙いながらも、自ら英語で話しかけることができました。中でも、異なる細胞ではありましたが、私が研究しているHIF-1αの実験を行っている方から質問があり、実験方法についての情報交換ができ、実験の難しさについて語り合うことで親近感が生まれ、「お互い頑張ろう!!」と励ましあえたことが印象に残っています。

口頭発表やポスター全体を通して、日本の研究と最も違いがあると感じた点は、ヒトのサンプルを用いて行った実験が多いということです。日本ではヒトのモデルとしてマウスを使うことがほとんどですが、実際にヒトのサンプルで研究を行うほうがインパクトは大きいと思います。ポスター発表の時も、「このデータはヒトで行っても同じ結果が得られるのか?」という質問を受けたことからも、ヨーロッパの研究者たちが、常に人への応用を考えて研究を行っているのだと実感しました。基礎研究に携わっていると、どうしても自分の興味が先行してしまい、本来の目的を忘れてしまいがちですが、何のために研究を行っているのか日々考えながら実験を計画しなければと再確認しました。

またフライトの関係上、最終日に観光ができる時間があったため、学会場からバスで約一時間離れたところにある、世界で五番目に小さく、最古の共和国である「サンマリノ共和国」に行ってきました。サンマリノ共和国は、4世紀にイタリア半島の対岸ダルマツィア地方出身の石工である聖マリノが、ローマ帝国皇帝ディオクレティアヌスによるキリスト教迫害を逃れるために、仲間とともにティターノ山に潜伏したことが始まりです。国を守るように3つの塔と要塞に囲まれていて、その中には教会や美術館、博物館が多く存在しています。半日で見て回れるほどの小さな国ですが、古い歴史を足で感じることができました。美術館や博物館には、展示物の説明をする年配の方々が何人もいて、分かりやすい英語で説明してくださったり、一人旅だと自分の写真がないからと、写真を撮ってくださるなど、温かい人柄にも触れることができました。

今回の学会を通して、イタリアやドイツの最新の研究を知ることができ、また自分の研究に関する貴重な情報を得ることができただけでなく、仮に英語であっても、積極的にコミュニケーションをとることの重要さや、研究を行う上での意識の持ち方など、多くのことを学べました。このような機会を与えていただいた、GCOE Young Researcher Support Planに、この場を借りて感謝の意を述べたいと思います。ありがとうございました。今後もこのようなサポートを続けて頂ける事を期待しております。

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