慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム 幹細胞医学のための教育研究拠点
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Young Researchers' Trip report


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Key Forum in developmental biology and regenerative medicine
参加報告

氏名

原田 聖子
GCOE RA
生理学

活動レポート

今回2011年9月7日~10日まで、熊本大学で開催されました、『KEY Forum in Developmental Biology and Regenerative Medicine』に参加いたしましたので、ご報告させて頂きます。本会は熊本大学グローバルCOEと熊本大学発生医学研究所の主催、熊本大学拠点形成研究Aと慶應義塾大学グローバルCOE共催で執り行われ、国内だけでなくシンガポール、台湾、アメリカといった外国からの参加者も多く、国内とは言え非常に国際色の強いものでした。また、演者の先生も錚々たる顔ぶれでForumと言うよりもむしろ、一つの大きな学会が行われているかのようでした。

本会のテーマにもあるように、今回は『Developmental Biology and Regenerative Medicine』に焦点を絞った会でした。一日目のセッションの構成は、Organogenesis, Tissue stem cells、二日目のセッションの構成は、 Development/ Epigenetics, Pluripotent stem cells & Regenerative medicineとなっており、計26人の先生が各分野における最先端の内容を講演され、非常に密度の濃い時間を過ごすことができました。いずれの日も午前、午後のセッションの間に二時間ほどポスター発表をする時間が設けられていました。私は、今回『Single cell isolation elucidates heterogeneity within the human mesenchymal stem/progenitor cell compartment』という題名でポスター発表をさせて頂きました。内容としては、ヒト間葉系幹細胞を骨髄から表面抗原を指標にフローサイトメーターを用いて、予期的にかつ、高純度に分離することに成功したというものです。間葉系幹細胞は、再生医療の分野では既に用いられていますが、細胞の分化、未分化性の維持がどのように行われているかについてはまだ明らかになっていません。その理由の一つとして、これまで行われてきた間葉系幹細胞の分離方法が挙げられます。これまで一般的には、骨髄単核球細胞を培養皿に播き、二週間培養した後に皿に付着していた細胞を間葉系幹細胞と見なされてきました。しかし、この方法では間葉系幹細胞以外の細胞が含まれている可能性や、二週間の培養中に性質変化が起きている可能性などが挙げられます。そこで、このような問題点を解決し、幹細胞本体の分子メカニズムに迫るために、我々は目的とする間葉系幹細胞のみを培養を経ずに分離しようと考え、その結果分離方法を確立することができました。ポスター会場では、幹細胞についても多く発表されていましたが、ES細胞やiPS細胞を対象と用いて研究をしているものが大半で、体性幹細胞を用いたものは少数派でした。その中でも間葉系幹細胞を研究対象としたものは今回は無く、少し寂しく感じたのですが、同時に現在自分自身が進めている研究を完成させたいという気持ちになりました。他の分野の研究をされている方から、違った目線での質問やアドバイスも頂き、今後の研究に役立てていきたいと思いました。

実は私は、修士時代に熊本大学発生医学研究センター(現・研究所に改組)に所属しており、一年半ぶりに帰熊(?)いたしました。当時、私は発生研学生会で活動していた時期があり、その時の先輩とも会場で再会し、話す事ができました。当時、発生研の説明会パンフレットに載せるために学生のインタビューをするという趣旨で、偶然四人の学生が集まりました。偶然その中に私も含まれていました。そのインタビューの中で、研究センターの性質であるためか、学生も少なく、また研究室間のつながりがあまり無いという話題が出たことから、もっと横の繋がりを持てるようにと、その四人で学生会を立ち上げることになりました。バーベキューやバレー大会などをし、他の研究室の先生や先輩と時にはお酒を酌み交わしつつ、たくさん話せたことはいい経験になったと思っています。今でも、活動は続いているらしく、これからもお互いにいい刺激を与えあえる環境であって欲しいなと思いました。

また、当時私が指導して頂いていた粂昭苑教授、粂和彦准教授、研究室の先輩や後輩と話す機会もあり、非常に有意義な時間をすごすことができました。自分の研究の原点を再確認することで、さらなる推進力を得られたように感じました。

東京に比べて、熊本は9月でも非常に湿度が高く、また気温も相当高いことを予想していましたが、到着した日は意外に涼しく、「あれ?こんな感じだったかな?」と思っていたら、残りは焼ける様な暑さでした。東京に帰る日に同じ研究室から参加したメンバーと一緒に熊本城を訪れたのですが、かき氷を食べても一時しのぎ程度で、久しぶりに熊本を体感することができました。

このような貴重な経験ができたのも、グローバルCOE 『Young Researcher Support Plan』によるサポートがあってこそだと思っております。この場を借りて、深く感謝の意を述べたいと思います。本当にありがとうございました。

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