慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム 幹細胞医学のための教育研究拠点
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Young Researchers' Trip report


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第15回International Congress of Mucosal Immunology

氏名

三上 洋平
GCOE RA
内科学(消化器内科)

詳細

GCOE Young Researcher Support Plan(2011年度)
参加日:2011年7月5日~2011年7月9日

活動レポート

今回7月5日~7月9日までフランスはパリで開催されました第15回International Congress of Mucosal Immunologyに参加いたしましたので御報告させていただきます。

この学会は2年に1度ヨーロッパ、アメリカ、アジアで開催される国際粘膜免疫学会で、2007年には日本で開催されております。粘膜免疫に関しては臓器の垣根なく、GI tractに限らずLung、Genito-urinary tractなども含み、テーマは自己免疫疾患に限らず感染免疫、腸内細菌叢と免疫系の関与など多岐にわたり、主に基礎医学の分野の研究成果発表がなされます。場所はパリ第5大学です。500人ほどは収容できそうな大きい階段教室は学生の講義を思わせる懐かしいものです。発表が始まると開場は一杯になり、とても活気のある学会でした。午前中はPlenary sessionということで、各分野の著名な学者が研究成果報告を行い、午後はOral presentationとPoster presentationです。午前のPlenary sessionには免疫学やIBDの著名な先生が名を連ねており、IBDではTargan S、 Elson CO、 Strober W(IBDはあまりに著明な先生方が多すぎて書ききれません)、免疫学ではNK-LTi細胞のEber GやDi Santo、NuocyteのArtisD、そしてRORγtといえばのLittman DRなど小さな学会とは思えない豪華なメンバーです。例えるなら信濃町の鳥かごにリオネル・メッシとクリスチアーノ・ロナウドとキングカズが世界選抜とサッカーをしているようなものでしょうか。

この度、私はLiver tolerance is maintained by tolerogenic CCR9+ pDCs and their breakdown is caused by activated macrophages in IBD model miceというテーマで発表いたしました。IBD患者における原因不明の肝機能障害のうち、腸炎活動性と関連したものがあるのではないかという事を腸炎モデルマウスを用いて証明した結果を御報告させていただきました。特別な実験方法は使っておりませんが、IBDモデルマウス、即ち本来腸炎を観察すべきモデルマウスで肝臓を詳細に検討したという視点が新しかったのか、興味を持ってみていただけたような反応でした。会場が狭い割に参加者が非常に多いということもあり、ポスター会場は非常に賑わっておりました。

しかし、今回の発表で一番嬉しかった事は、NIH (National Institutes of Health)の大御所Strober先生の基調講演の中で、我々のグループの報告が数本引用されていた事です。Th17細胞が炎症時に本当に"悪役"なのか?という謎は未だに混沌としたテーマですが、Humanのクローン病の腸管リンパ節でTh1細胞が病態形成に重要な役割を果たしている (Sakuraba, Hibi, et al. Gastroenterology 2009)、マウスモデルに於いてTh17細胞はt-betを発現する事で腸炎惹起性Th1細胞に分化する(Sujino, Kanai, Hibi, et al. Gastroenterology 2011)、Th17細胞とTh1細胞はサイトカイン干渉する(Mikami, Sujino, Kanai, Hibi, et al. EJI 2010)という事を含めて、Th1細胞の腸炎惹起に関する重要性をご説明されており、嬉しく思いました。

Th17、IL-23、Innate lymphoid cellについての知識が体系的に理解できると共に、これらの分野でのグローバルコンセンサスがどのような状況かという事についての知識は大きな収穫で、とてもencourageされる4日間でした。

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