Science.
2018 Feb 23;359(6378):935-939. doi: 10.1126/science.aaq1067.
Satoshi Iwano, Mayu Sugiyama, Hiroshi Hama, Akiya Watakabe, Naomi Hasegawa, Takahiro Kuchimaru, Kazumasa Z. Tanaka, Megumu Takahashi, Yoko Ishida, Junichi Hata, Satoshi Shimozono, Kana Namiki, Takashi Fukano, Masahiro Kiyama, Hideyuki Okano, Shinae Kizaka-Kondoh, Thomas J. McHugh, Tetsuo Yamamori, Hiroyuki Hioki, Shojiro Maki, Atsushi Miyawaki*
夏の風物詩と言えばホタルの観賞です。ホタルが光るのはLuciferaseという酵素がD-luciferinという基質を酸化する生物発光システムによります。ホタルLuciferaseに変異を導入した作製した人工酵素(AlaLuc)とD-luciferinを元に合成した人工基質(AkaLumine)の組み合わせにより、動物深部からの発光シグナルを従来に比べ100~1,000倍の強さで検出できる新しいイメージング・システム(AkaBLI)が、理化学研究所の宮脇敦史チームリーダー(66回生)のグループによって開発されました。AMEDの革新脳プログラム(Brain/MINDS)のサポートにより、同グループはAkaBLIの脳神経系への応用研究を進め、医学部生理学教室の岡野栄之教授(62回生)のグループなどとの共同で論文をまとめてこのたびScience誌に発表しました。本研究では、マウスの線条体(大脳皮質下の領域)の標識神経細胞からの発光を、無麻酔かつ自由行動の状態で非侵襲的に観察することが可能となりました。同様に、成獣マーモセット(霊長類動物)の線条体内神経細胞からの発光を長期間にかけて観察することに成功しています。本成果は、高等動物の高次脳機能のより自然な状況での解析、および生体内のより少数細胞の追跡を可能にします。神経科学分野や幹細胞研究分野への応用が期待されます。
(生理学教室 岡野栄之 62回、理化学研究所脳科学総合研究センター 宮脇敦史 66回)
JOURNAL OF CLINICAL INVESTIGATION,
128 (4):1581-1596; 10.1172/JCI92863 APR 2 2018
Teratani Toshiaki, Tomita Kengo, Suzuki Takahiro, Furuhashi Hirotaka, Irie Rie, Nishikawa Makoto, Yamamoto Junji, Hibi Toshifumi, Miura Soichiro, Minamino Tohru, Oike Yuichi, Hokari Ryota, Kanai Takanori
非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) は、メタボリックシンドロームの肝臓における表現型とされ、肝硬変・肝臓癌へと進展する進行性の肝疾患です。肥満人口の増加とともに全世界でNASH患者数が急増しており、病態の解明・治療法の確立は喫緊の課題です。今回の研究では、Aortic carboxypeptidase–like protein (ACLP) 発現が、NASH病態進展に伴い肝星細胞 (肝線維化病態形成における責任細胞) 特異的に増強することを明らかにしました。さらに、ACLPがβ-カテニン経路を活性化させるWntリガンドであることを解明しました。NASH病態で、ACLPはβ-カテニンシグナル増強を介し肝星細胞を活性化させる、肝線維化促進因子でした。そして、遊離脂肪酸などの肥満関連因子が、ACLP発現を増強させていました。肥満やメタボリックシンドロームになると脂肪肝になるものの、何故NASH病態が進展するかについてはこれまで明らかにされていませんでした。今回の研究で、肝星細胞が産生するACLPという新たなWntリガンドが、その病態機序を説明する責任分子であることが解明されました。肝細胞癌も含めたNASH治療の分子標的として今後期待されます。
(内科学(消化器) 寺谷俊昭 86相当、内科学(消化器) 金井隆典 67回、防衛医科大学校消化器内科 冨田謙吾 72回)
NATURE REVIEWS IMMUNOLOGY,
18 (5):309-324; 10.1038/nri.2017.142 MAY 2018
Taniguchi Koji, Karin Michael
BLOOD,
131 (16):1833-1845; 10.1182/blood-2017-05-787226 APR 19 2018
Shima Haruko, Takamatsu-Ichihara Emi, Shino Mika, Yamagata Kazutsune, Katsumoto Takuo, Aikawa Yukiko, Fujita Shuhei, Koseki Haruhiko, Kitabayashi Issay