Nat Commun.
2018 Apr 19;9(1):1561. doi: 10.1038/s41467-018-03899-1.
Megumi Shiota, Masayuki Naya, Takehiro Yamamoto, Takako Hishiki, Takeharu Tani, Hiroyuki Takahashi, Akiko Kubo, Daisuke Koike, Mai Itoh, Mitsuyo Ohmura, Yasuaki Kabe, Yuki Sugiura, Nobuyoshi Hiraoka, Takayuki Morikawa, Keiyo Takubo, Kentaro Suina, Hideaki Nagashima, Oltea Sampetrean, Osamu Nagano, Hideyuki Saya, Shogo Yamazoe, Hiroyuki Watanabe, Makoto Suematsu
慶應義塾大学医学部医化学教室の末松誠客員教授(62回)、塩田芽実・納谷昌之、両非常勤講師、同医学部の山本雄広専任講師、菱木貴子専任講師、加部泰明専任講師らの研究グループは、金ナノ粒子を敷き詰めた特殊基板を開発することにより、表面増強ラマンイメージング(Surface-enhanced Raman Spectroscopy imaging:以下、SERS imaging)を実施し、マウス凍結病理組織切片におけるがん部と非がん部の沢山の代謝物から生じる「原子間振動」を表面増強ラマンイメージングという方法で検出し、両者の代謝プロファイリング解析の違いを統計的に分析することによって、がんの所在を非標識・無染色で自動的に可視化することに成功しました。がん細胞には細胞増殖や細胞死の制御に関わる「硫黄原子を含有する機能分子」が豊富に含まれており、それらは金ナノ粒子と相互作用することによって固有の原子間振動を反映したラマン散乱光を発生させます。今回の研究ではがん組織ではグルタチオンのような既存の抗酸化分子が検出できるだけでなく、硫化水素から生成されるPolysulfidesと呼ばれる機能分子が豊富に検出され、可視化できることも示されました。これまでの病理診断では細胞や核の形態学的特徴の識別に基づく方法が主体でしたが、がん部と非がん部の識別を、非標識・無染色の条件下で生化学的な質的診断によって実現できる可能性が開かれました。
(医化学教室客員教授 末松 誠 62回)
ANNUAL REVIEW OF PHYSIOLOGY
2018, VOL 80, 80 243-262; 10.1146
Yuzaki, Michisuke
ヒトの脳では約1000億個の神経細胞が1000兆に及ぶシナプスを介して結合し神経回路を構成する。シナプスは遺伝子によって決定されるのみでなく、神経活動に応じて生涯にわたって変化する。近年のゲノム研究や脳画像研究の結果、アルツハイマー病や統合失調症、自閉症スペクトラム症などの精神・神経疾患や発達障害の多くはシナプス障害に起因する「シナプス病」であると考えられつつある。したがってシナプスがどのように形成・維持され、あるいは病的過程でどのように失われるのかを解明することは、基礎科学としてのみならず臨床医学的にも極めて重要な課題となっている。シナプス形成を制御する分子には大きく細胞接着分子(Neurexinなど)や分泌性(拡散性)分子(Wntなど)が知られていた。前者は近距離から作用してシナプス成熟を、後者は遠い距離から拡散してシナプス形成を促進する。近年、分泌された後にシナプス間隙にとどまり様々な分子の足場となる細胞外足場タンパク質(Cbln1など)が3つめのカテゴリーとして注目されている。本総説ではこの2種類の分泌性分子について近年の所見をまとめて考察を加えた。
(生理学教室教授 柚﨑通介 64相当)
GASTROENTEROLOGY,
154 (4):935-947; 10.1053/j.gastro.2017.11.024 MAR 2018
Naganuma M, Sugimoto S, Mitsuyama K, Kobayashi T, Yoshimura N, Ohi H, Tanaka S, Andoh A, Ohmiya N, Saigusa K, Yamamoto T, Morohoshi Y, Ichikawa H, Matsuoka K, Hisamatsu T, Watanabe K, Mizuno S, Suda W, Hattori M, Fukuda S, Hirayama A, Abe T, Watanabe M, Hibi T, Suzuki Y, Kanai T
CELL STEM CELL,
22 (3):454-+; 10.1016/j.stem.2017.12.009 MAR 1 2018
Seino Takashi, Kawasaki Shintaro, Shimokawa Mariko, Tamagawa Hiroki, Toshimitsu Kohta, Fujii Masayuki, Ohta Yuki, Matano Mami, Nanki Kosaku, Kawasaki Kenta, Takahashi Sirirat, Sugimoto Shinya, Iwasaki Eisuke, Takagi Junichi, Itoi Takao, Kitago Minoru, Kitagawa Yuko, Kanai Takanori, Sato Toshiro
AUTOPHAGY,
14 (2):347-358; 10.1080/15548627.2017.1407889 2018
Nibe, Yoichi; Oshima, Shigeru; Kobayashi, Masanori; Maeyashiki, Chiaki; Matsuzawa, Yu; Otsubo, Kana; Matsuda, Hiroki; Aonuma, Emi; Nemoto, Yasuhiro; Nagaishi, Takashi; Okamoto, Ryuichi; Tsuchiya, Kiichiro; Nakamura, Tetsuya; Nakada, Shinichiro; Watanabe, Mamoru