Nat Commun
2021 Aug 26;12(1):5146. doi: 10.1038/s41467-021-25488-5.
Yoshihiko Yamazaki*, Yoshifumi Abe*, Satoshi Fujii, Kenji F Tanaka. (*equal contribution)
ミエリンを形成するオリゴデンドロサイト(OL)は神経活動が高まると脱分極し、神経軸索伝導速度を更に高速化する(GLIA 2014)。その結果、シナプス伝達効率が増える(J Neurosci 2019)。今回の研究では、これらの促進効果が子供の脳で高く、大人の脳で低いこと、その責任分子がOLに発現するNKCC1であることを突き止めた。私達は、次なるチャレンジとして、「少なくなってしまったOLに発現するNKCC1を大人になってから増やすだけで、記憶学習が良くなるのか」に取り組んだ。その結果、答えはYesだった。脳の機能を若返らせるのに、OLの機能を若返らせることも選択肢の一つになることを示した論文である。ちなみに利尿薬フロセミドはNKCC1の阻害薬ですが、フロセミドは血液脳関門を通過しないのでのOLの機能が老化することはありませんのでご安心下さい。
(先端医科学研究所脳科学研究部門 田中謙二 76回、阿部欣史 89相当)
Nature.
2021 Jul 29. doi: 10.1038/s41586-021-03832-5.
Sato Y, Atarashi K, Plichta DR, Arai Y, Sasajima S, Kearney SM, Suda W, Takeshita K, Sasaki T, Okamoto S, Skelly AN, Okamura Y, Vlamakis H, Li YX, Tanoue T, Takei H, Nittono H, Narushima S, Irie J, Itoh H, Moriya K, Sugiura Y, Suematsu M, Moritoki N, Shibata S, Littman DR, Fischbach MA, Uwamino Y, Inoue T, Honda A, Hattori M, Murai T, Xavier RJ, Hirose N, Honda K.
本研究では、百寿総合研究センター・新井康通先生、広瀬信義先生の協力のもと、国内の百寿者(平均107歳)から便サンプルを採取し、腸内細菌叢と代謝物の解析を行いました。その結果、若齢者(20-50歳)と高齢者(80-90歳)に比べ百寿者の腸管では胆汁酸代謝に関わる細菌遺伝子群が増加していることが分かりました。便中の胆汁酸を解析したところ、腸内細菌によって代謝されるイソアロリトコール酸という二次胆汁酸が顕著に増えていることを見いだしました。独自のスクリーニングシステムによって百寿者の便から、イソアロリトコール酸を産生する細菌株を同定し、さらに細菌によるイソアロリトコール酸産生経路を解明しました。加えてイソアロリトコール酸が極めて低濃度でグラム陽性病原性細菌の増殖を抑制することを発見しました。以上から、百寿者の腸内ではイソアロリトコール酸が豊富に存在しているため、健康な腸内環境を維持できているのではないかと考えられました。
(微生物学・免疫学教室 本田賢也 73相当)
Nature Communications.
2021 Sep 20;12(1):5547. doi: 10.1038/s41467-021-25865-0.
Takamatsu K, Tanaka N, Hakozaki K, Takahashi R, Teranishi Y, Murakami T, Kufukihara R, Niwa N, Mikami S, Shinojima T, Sasaki T, Sato Y, Kume H, Ogawa S, Kakimi K, Kamatani T, Miya F, Tsunoda T, Aimono E, Nishihara H, Sawada K, Imamura T, Mizuno R, Oya M.
Nakahara T, Tsugawa S, Noda Y, Ueno F, Honda S, Kinjo M, Segawa H, Hondo N, Mori Y, Watanabe H, Nakahara K, Yoshida K, Wada M, Tarumi R, Iwata Y, Plitman E, Moriguchi S, de La Fuente-Sandoval C, Uchida H, Mimura M, Graff-Guerrero A, Nakajima S.