Nat Commun
12(1): 4474, 2021 doi: 10.1038/s41467-021-24734-0
Koda Y, Teratani T, Chu PS, Hagihara Y, Mikami Y, Harada Y, Tsujikawa H, Miyamoto K, Suzuki T, Taniki N,Sujino T, Sakamoto M, Kanai T, Nakamoto N.
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は肝臓の炎症および肝細胞の風船化を呈し、肝硬変・肝がんに進展する危険性があるが、現時点で有効な内科的治療は存在しない。従来、肝臓の線維化は不可逆的であると考えられていたが、肝炎ウイルスを治療薬で排除後肝線維化が回復するケースが報告され、その定説は覆されつつある。私達は病理学教室との共同研究により、NASH病態の「発症→病態進行→食事治療による回復」のプロセスをマウスで再現し、NASH病態回復期において「組織常在型メモリーCD8T細胞 (CD8 Trm)」が肝線維化の回復に関与していることを発見した。さらに、CD8 Trm細胞がFasリガンドを介して線維化の主要な悪玉細胞である肝星細胞の細胞死を誘導することで線維化からの回復を促進していることを明らかとした(図1)。本細胞はNASH患者の肝組織中でも確認され、本研究成果が今後肝臓をはじめとする臓器線維化疾患の治療法や診断薬の開発につながることが期待される。
(消化器内科学教室 中本伸宏 77回)
J Am Coll Cardiol
2021 Aug 24;78(8):763-777.
Shoji S, Kuno T, Fujisaki T, Takagi H, Briasoulis A, Deharo P, Cuisset T, Latib A, Kohsaka S.
急性冠症候群の治療後には抗血小板薬の「二剤投与(アスピリンとP2Y12阻害薬)」が必要とされる。このうちP2Y12阻害薬については、より強力な作用を持つ新世代の薬剤が最近開発され、こちらを使っていくことが世界的な潮流となりつつある。しかし、強力な抗血小板薬は同時に出血リスクをも上昇させるため、特に我が国では大きな問題となっていた(Shoji et al JAMA Netw Open 2020)。そこで提唱されたのが、抗血小板薬を「段階的減薬(De-Escalation)」していくという戦略である。しかし、残念ながらこの戦略に関して実施されたRCTの規模は小さく、「減薬」に関して確固たる推奨を行うことが難しい状況が続いていた。そこで今回、庄司・工野・香坂君らは、この戦略の是非について、15の試験データを集積し、ネットワークメタ解析を実施した。その結果、De-Escalation戦略は出血合併症の予防のみならず、塞栓合併症の再発にもつながるであろうという、従来からの期待を上回る成果が得られた(図)。この内容は、アジアから世界へ、今後の診療ガイドライン推奨に大きく寄与していくものと思われる。
(循環器内科教室 福田恵一 62回)
Nat Commun.
2021 Aug 26;12(1):5146. doi: 10.1038/s41467-021-25488-5.
Yoshihiko Yamazaki, Yoshifumi Abe, Satoshi Fujii, Kenji F Tanaka
Molecular Aspects of Medicine.
2021 Aug;80:100984. doi: 10.1016
Kinouchi K, Mikami Y, Kanai T, Itoh H.