骨髄中の造血幹細胞の正常な増殖と分化により恒常性が維持されています。造血幹細胞の維持には、骨髄中の微細環境(ニッチ)が重要であり、これまで間葉系幹細胞など多くの非血液細胞がニッチとして解析されてきました。私たちは、成熟巨核球が幹細胞ニッチとして機能していること、また、その機能が巨核球上の膜分子であるCLEC-2により制御されていることを報告しました。これにより幹細胞がその子孫の細胞により、フィードバックを受けていることが明らかになり、幹細胞の恒常性維持に踏み込めました。筆頭著者の石津君は、巨核球の分化・機能をさらに解析すべく、現在、シンガポール国立大学医学部癌科学研究所(NUS, CSI)にて研究を続けております。シンガポール大学は、アジアの様々な民族・文化が交わるとても活発でユニークな研究環境です。
(熊本大学国際先端医療研究機構 須田年生 53相当、石津綾子)