2017年10月10日、リトアニア共和国のヴェリーガ保健大臣(Prof. Aurelijus Veryga, Minister of Health)ならびにリトアニア共和国を代表する二大病院の病院長および首都ヴィリニュス大学の医学部長等からなる7名の使節団が信濃町キャンパスを訪問されました。
はじめに、天谷雅行医学部長から医学部における教育・研究・診療の連携について、続いて北川雄光病院長から病院の理念とそれを実現するための診療体制について紹介を行い、松本守雄副病院長を交えて活発な意見交換が行われました。特に病院のクラスター診療がどのように実現されているかについて、診療科を横断し、ひとりひとりの患者さんに包括的な医療を提供する仕組みや、新病院棟ではいっそう充実した診療を可能にする外来フロアが完成することに関心が集まりました。
その後、臨床遺伝学センターの小﨑健次郎教授より、診断不明患者の診断を目指す未診断疾患イニシアチブ(IRUD:Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases)への取り組みを説明し、引き続いてセンターにてゲノム解析の現場を見学しました。小﨑教授はリトアニア共和国の難病専門医と連携して10名以上のリトアニア人診断不明患者の診断依頼を受けており、そのうち既に4名の診断が確定し、2名については治療可能であることが判明しています。使節団は本分野での今後の協力関係の推進に大きな期待を寄せていました。
最後に、予防医療センターの清水良子助教より、予防医療センターで提供する検査、フォローアップ、診療科との連携について説明を行いながら、予防医療センターの施設を見学しました。リトアニア共和国では、人間ドックのシステムがないことから、癌やメタボリックシンドロームを検査で発見し、適切な対応を行う予防医療の必要性について、積極的な質疑応答が行われました。
リトアニア共和国の地を初めて踏んだ日本人は福澤諭吉であり、本訪問が、慶應義塾大学とリトアニア共和国の関係をいっそう強くするものと期待されます。