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慶應義塾大学 大学院教育改革支援プログラム 創薬に向けた医薬科学を先導する人材の養成
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2009年度鶴岡キャンパス研修

 

 平成21年9月16日(水)~17日(木)、慶應義塾大学先端生命科学研究所(鶴岡キャンパス)に於いて、大学院教育改革支援プログラム(大学院GP)の一環として、医・薬研究科の修士課程の学生を対象とした研修が行われ、学生12名(医・薬6名ずつ)、教員4名(医・薬2名ずつ)が参加した。鶴岡キャンパスは自他ともに認める生命科学のトップランナーとして走り続けている。従来的な大学の在り方では難しい、細胞工学、分析化学、代謝工学、分子遺伝学、ゲノム工学や情報科学といった異分野の専門家の知識と情報の共有を実践し、オミックスとバイオインフォマティックスを包括的に理解する「総合システムバイオロジー」という新しい研究分野を先導している。疾病のバイオマーカーの探索や創薬の開発研究の原動力となっている網羅的代謝解析は、当研究所で開発されたCE-MSによるメタボローム解析技術によって創成された領域である。前回の研修では第1回ということもあり、もっぱら医学・薬学の参加学生側が鶴岡キャンパス側から刺激を受け止める"受容体的研修"であったのに対し、今回は"双方的研修"をキーワードに関係者各位の精力的なアレンジをいただき、2日間にわたり鶴岡キャンパスの見学、ならびに同キャンパスの教員・研究員、大学院生、環境情報学部学生による研究発表と当方側の参加学生による研究発表が行われ、積極的な研究討議と意見交換が展開された。
 鶴岡キャンパスは山形県および庄内地域市町村との連携のもと山形県鶴岡市に設置された地域性かつ先端性を兼ね備えるユニークなキャンパスである。IT関連技術を駆使した"Dry Biology"を主とするキャンパスセンター棟と、実験生物学・実験化学的手法に基づく"Wet Biology"を主とするバイオラボ棟およびメタボロームキャンパス棟、以上3つの研究棟から構成されている。初日はまず冨田勝所長から研究所全体のオーバービュープレゼンテーションをいただき、"Dry Biology"と"Wet Biology"の融合の理念とそれにかける情熱が強く認識された次第であった。引き続き冨田所長の引率でバイオラボ棟とメタボロームキャンパス棟を見学した。鶴岡キャンパスはCE-TOF-MSを20台以上有する世界最大規模のメタボロームファクトリーである。得られる膨大なデータはスーパーコンピューターにより厳重に管理されている。これらの先駆的研究環境により最先端の生命科学が支えられていることに、参加者全員が大いに感銘と知的興奮を覚えた。見学の後、医学教員と薬学教員が自分達の大学院GP活動や研究概要をごく簡単に紹介し、続いて鶴岡キャンパス教員・大学院生から3つの研究発表があった。その後宿泊施設内で開催された懇親会を通じて、和やかな雰囲気のもと、各自の研究内容にとどまらずお互いの大学院生活にまで及んだ情報交換が活発に行われた。
 2日目の午前中はキャンパスセンター棟を見学した。その一環として実験的地域医療情報支援活動"からだ館 がん情報ステーション"の取り組みについても紹介された。医学・薬学の研究を志す大学院生にとって、基礎生命科学とは異なる視点から自らのモチベーションの向上につながる示唆が得られたと思われる。鶴岡キャンパス教員と大学院生から2つの研究発表が行われた後、午後にメタボロームキャンパス棟に移動して、5名の鶴岡キャンパス研究員・大学院生と4名の参加学生(医・薬2名ずつ)による研究発表が行われた。鶴岡の研究活動は医学や薬学のテーマもある一方でバイオマス、環境保全、新規の材料化学工学への応用、さらには記憶媒体としての微生物利用というように、生命そのものと同様に多様性に富む展開を示しており、生命科学を医学・薬学的テーマに直結させて研究・教育に携わるのが常套である参加学生・教員一同にとっては、極めて大きな刺激であった。学部生や大学院生でもすでに、トップジャーナルに発表している研究の存在は、ここ数年の間の鶴岡における"Dry Biology"と"Wet Biology"の融合の加速化が顕著であることの証である。鶴岡キャンパスに培われた自由かつ横断的な発想とそれに裏打ちされた研究に対する情熱は、研修に参加した一同に様々な示唆をもたらしたと確信している。帰路の移動中、教員から促すことなく参加学生の間で見学や研究発表を振り返りながら話し合う姿に今回の研修の成功を感じた次第である。
 冨田所長、松尾剛講師をはじめ、本研修の企画・運営に御尽力いただいた鶴岡キャンパスの関係者各位にあらためてここに感謝の意を表させていただきたい。

 

  ⇒参加者の声はこちら
 

                                    ~参加者一同~

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  <キャンパス内見学>

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                    ~1日目~                                ~2日目~

 

 

  <プレゼンテーションの様子>

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2009年度医学・薬学合同ガイダンス


2009年度シンポジウム


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