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2008年度鶴岡キャンパス研修
平成21年3月10日(火)~11日(水)、慶應義塾大学先端生命科学研究所(鶴岡キャンパス)に於いて、大学院教育改革支援プログラム(大学院GP)の一環として、医・薬研究科の修士課程の学生を対象とした研修が行われ、学生13名(医7名、薬6名)、教員4名(医・薬2名ずつ)が参加した。鶴岡キャンパスでは細胞工学、分析化学、代謝工学、分子遺伝学、ゲノム工学や情報科学といった異分野の専門家が集結し、それぞれの知識と情報を共有することにより「総合システムバイオロジー」と呼ばれるGenomics、Transcriptomics、Proteomics、Metabolomics、Bioinformaticsを包括的に理解するという新しい研究分野の開拓を推進している。特にMetabolomicsに関しては、当研究所の曽我朋義教授が開発したCE-MSによるメタボローム解析技術により、細胞内の物質を短時間で一斉に測定することが可能となり、現在ではこの技術を利用した疾病のバイオマーカー探索や創薬の開発研究などが広く行われている。今回は2日間にわたり、鶴岡キャンパスの見学と、同キャンパス内で研究を実践している教員・研究員、大学院生、環境情報学部在籍の学生の研究発表が行われた。鶴岡キャンパスは山形県および庄内地域市町村との連携のもと山形県鶴岡市に設置されたキャンパスで、IT関連技術を駆使した"Dry Biology"を主とするキャンパスセンター棟と、実験生物学・実験化学的手法に基づく"Wet Biology"を主とするバイオラボ棟およびメタボロームキャンパス棟、以上3つの研究棟から構成されている。初日はバイオラボ棟の見学後、Metabolome技術を用いたバイオーマーカーの探索およびがん細胞の代謝解析に関する研究(曽我朋義教授、紙健次郎君(D3))、Proteome解析に用いるリン酸化物質の効率的な抽出方法に関する研究(石濱泰准教授)、そして、RNA結合蛋白質の同定や新規non-coding RNAの解析等RNAに関する研究(金井昭夫教授)等の発表が行われた。鶴岡キャンパスはCE-TOF-MSを20台以上有する世界最大規模のメタボロームファクトリーである。得られる膨大なデータはスーパーコンピューターにより厳重に管理されている。これらの先駆的研究環境により最先端の生命科学が支えられていることに、参加者全員が大いに感銘と知的興奮を覚えた。その後宿泊施設内で開催された懇親会を通じて、和やかな雰囲気のもと、各自の研究内容にとどまらずお互いの大学院生活にまで及んだ情報交換が活発に行われた。
2日目の午前中はキャンパスセンター棟の見学後、メタボローム解析データのデータベース化「Massbank」(西岡孝明教授)や、免疫応答のシグナル伝達をコンピューターシミュレーション技術により解明するSystem Immunologyに関する研究発表(土屋政輝准教授、Kumar Selvarajoo講師)が行われた。午後はメタボロームキャンパス棟に場所を移し、棟内を見学したのち環境情報学部の学生6名(学部2年~博士課程3年)による研究発表が行われた。学部生や大学院生でもすでに、トップジャーナルに発表している研究内容もあり、高いレベルの研究が行われていることを伺わせた。また、高性能タンパク質素材としてクモの繊維を生産する学生ベンチャー企業Spiber社の紹介もあった。
今回の研修に参加した学生の中には修士課程に入ってから研究を始めた学生も多く含まれ、最初は異分野の話に戸惑いながらも鶴岡キャンパスの研究者や学生の自由な発想と研究に対する熱意に刺激を受けたようである。今回の研修の成果と経験をもとに、より多くの学生の参加と双方向的発展をめざして、次回の鶴岡研修を企画したいと考える次第である。
