診断学実習

4学年3学期には、診断学実習を通じていよいよ臨床実習を行うための技術や態度の習得、知識の統合をおこないます。具体的には、医療面接や身体診察の手法、基本的な外科手技、一次救命処置(BLS; Basic Life Support)などを小グループに分かれて実践的に学んでいきます。これらで学んだことは、「臨床実習開始前の共用試験」(客観的臨床能力試験OSCE、下記参照)で評価されることになります。

シミュレーション教育

以前は医療技術の習得のために実際の患者さんのご協力を得ていましたが、現在の医学教育では患者さんの安全を確保するため、シミュレーターを使って一定水準の技能を得てから患者さんに処置を行うよう指導しています。たとえば、採血シミュレーターを使って、一定水準の技能が得られたことが確認できて初めて、指導医の指導のもとでの患者さんへの採血が許可されます。

慶應義塾大学医学部では2003年から医学生および研修医のための医療技術のシミュレーション教育を行っています。専任の管理者(看護師)が配置されたシミュレーションラボにおける研修は、多数のシミュレーター教材や充実したシナリオなど、日本で最も進んだ施設の一つであると評価されています。

模擬患者(SP; Simulated Patient)

シミュレーション教育と同様、患者さんとの医療面接においても、まず模擬患者(SP; Simulated Patient)さんに患者役を演じてもらい、医学生の医療面接技術の向上を図ってから真の患者さんと面接するよう教育しています。

慶應義塾大学医学部では約30名のSPを養成しており、5学年の臨床推論力の向上のための実習、6学年の治療選択・告知の医療面接の実習にもご協力いただいています。

共用試験CBTとOSCE(オスキー)試験

2005年から開始された「臨床実習開始前の共用試験」は、臨床実習を始める前に備えるべき総合的知識及び基本的診療技能と態度を評価し、学生の知識・技能を担保するものです。

共用試験は、基礎・臨床医学の総合的理解力を評価する客観試験(CBT)と、診療技能・態度を評価する客観的臨床能力試験(OSCE)の二つからなっています。慶應義塾大学医学部では、5学年4月からの臨床実習に備えて4学年の3学期にCBTとOSCE試験を行い、これらの試験に合格することで臨床実習に参加することが可能となります。

CBT、OSCEに合格した学生には全国医学部長病院長会議よりStudent Doctorカードが発行されます。

Student Doctor制度の目的は、医学生と医師の中間の資格としてのStudent Doctorを患者さんや社会に広く理解していただくことや、患者さんが安心して医学生の医療行為に協力していただけるような環境を作ることにあります。さらに、医学生にもStudent Doctorとしての責任を自覚してもらうことにも目的があります。学生もStudent Doctorに相応しい知識、技能、態度を身につけるよう努力し、社会にStudent Doctorが理解され、実りある臨床実習がおこなえるようになることが期待されています。