未来の医学を切り開く
世界トップレベルの
人材の集結と育成を目指して

医学研究科委員長 河上裕

大学の価値は、学問として新しいものを生み出し社会に貢献することです。慶應義塾大学大学院医学研究科は、生命科学・基礎医学・臨床医学・社会医学など、各分野におけるトップレベルの研究者を擁し、広い分野に渡って研究を進めています。臨床応用などを全く考えない科学的興味だけで進められた研究で得られた成果から、その科学的な価値に加えて、優れた創薬につながることがありますし、逆に、今では各種システム生物学などの新技術を駆使することにより、少量の臨床検体を用いた研究から新たな科学的な発見、新しい概念の創出、疾患の診断法・治療法・予防法につながる新規シーズを生み出すことも可能になりました。ヒトと動物では異なる点も多く、ヒト疾患には多様性が強く、臨床試験等を介してヒトの研究を推進することは、医学研究科の特色を活かす点で重要です。また、分子レベルでの疫学、公衆衛生・医療におけるビッグデータ解析とそれに基づいた医療政策の提言など、社会医学の重要性も増しています。

北里柴三郎初代医学部長は医学部創立時に「基礎医学と臨床医学の連携を緊密にし、学内は融合して一家族の如く」という基本理念を示しました。この志が現在まで継承されたことで、慶應義塾大学医学部・医学研究科は、日本でも有数の基礎教室と臨床教室の連携が進んだ大学として認知されています。現在、医学研究科では生命科学・基礎医学・臨床医学・社会医学とその連携研究を発展させ、将来世界で活躍できる大学院生の養成を目指しています。そのために必要なハード面の整備として、この数年、新しい研究施設や医療施設を築いており、2017年度には最新の設備を整えた新病院棟も完成します。ソフト面では、大学院講義の英語化、生命医学倫理の教育体制、臨床研究に必須な医療統計学などの教育体制、多くの公的・民間外部資金獲得による横断的な研究・教育体制の構築、リサーチパークにおけるトランスレーショナル研究を目指した企業との産学連携研究体制の構築、連携大学院制度も含めた国内外の一流研究・医療機関との連携体制の構築など、さまざまな形で研究・教育環境を整備してきました。このような環境の中で、国際的一流誌に掲載した論文で学位を取得する大学院生も増加しています。また、近年、日本では海外留学が減っている中、医学研究科では多くの海外留学者がおり、将来、世界に羽ばたいて活躍することが期待されます。私たちは、さらなる医学研究科の改善・発展を目指し、大学院生ら若手研究者とともに、日々努力しています。
未来の医学の先導者達よ、いざ集まらん!

医学研究科委員長
河上 裕
Yutaka Kawakami

1980年慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院研修医、国立大蔵病院内科、慶應義塾大学医学部 血液リウマチ感染内科助手として、内科医として勤務後、85年から米国南フロリダ大学免疫学教室、87年から97年まで米国NIH国立がん研究所(NCI)(Steven Rosenberg博士) 、89年には米国カリフォルニア工科大学生物学教室(Leroy Hood博士)に留学。97年から慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所 細胞情報研究部門 教授、2005年から2015年まで同研究所所長。2015年から医学研究科委員長。