JAMA Intern Med.
Published online July 1, 2024. doi:10.1001/jamainternmed.2024.2270
Ryuichiro Yagi, Yuichiro Mori, Shinichi Goto, Taku Iwami, Kosuke Inoue
12誘導心電図は循環器領域で最も簡便な検査であり、世界中で広く一般に用いられています。日本では健康診断にて毎年の心電図検査が義務付けられている一方で、定期的な心電図検査を行うことの心血管疾患の早期発見・予防に対するエビデンスは不足しており、欧米では無症状の成人に対して心電図検査を行うことは推奨されていません。そこで、私たちは日本の大規模健診データの着目し、一般集団における心電図所見と心血管疾患発症との関連を評価しました。全国で2016年に心電図を受検した心疾患の既往のない350万人の協会けんぽ加入者のデータを解析したところ、心電図異常がみられた群では正常心電図群と比較して心血管疾患発症率が1.2-2倍高いという結果でした。加えて、軽度異常が見られた群では、正常心電図群と比較して5年以内に重度心電図異常が生じる可能性が2.5-3.6倍高いことが判明しました。これらの結果は、心電図所見が一般集団における心血管疾患のリスク評価に有用である可能性を示しています。今後も健診をベースとしたビッグデータを用いて心血管疾患予防のエビデンス構築に寄与すると同時に、人工知能を用いて心電図診断の精度を向上させること目指していきます。
(ブリガム・アンド・ウィメンズ・ホスピタル 循環器内科 リサーチフェロー 八木隆一郎 94 回)
J Allergy Clin Immunol.
2024 Jul 25:S0091-6749(24)00741-3. doi: 10.1016
Sunata K, Miyata J, Kawashima Y, Konno R, Ishikawa M, Hasegawa Y, Onozato R, Otsu Y, Matsuyama E, Sasaki H, Okuzumi S, Mochimaru T, Masaki K, Kabata H, Kawana A, Arita M, Fukunaga K.
喘息と慢性鼻副鼻腔炎に代表される気道のアレルギー疾患では、好酸球が炎症細胞として活躍します。炎症の局所では2型サイトカインのインターロイキン-5(IL-5)が好酸球を活性化することはよく知られていますが、IL-4とIL-13の好酸球への作用は軽視されていました。私達は、慶應義塾大学薬学部薬学部長の有田誠教授とかずさDNA研究所の川島祐介グループ長との共同研究によって、遺伝子・蛋白・脂質を網羅的に解析する多層オミクス解析を利用して、この謎を解明しました。IL-4とIL-13は、転写因子のSTAT6依存的に好酸球のIL-33に対する受容体の発現を増やし、炎症を強める脂質メディエーターのロイコトリエンD4の産生能を関連する酵素の発現とともに高めました。これらの変化は喘息と慢性鼻副鼻腔炎の気道中で引き起こされることを、臨床検体の解析によって確認しました。難治性アレルギー疾患ではIL-4とIL-13を含むサイトカインを標的とした生物学的製剤が複数使用可能になっています。患者さんのコントロールは改善している一方で、薬剤の選択・金銭面の問題に直面しています。研究の知見を生かして、個別化医療の新しい方法論と新規治療薬を届けられるように、今後も一層尽力して参ります。
(呼吸器内科 砂田啓英也 94回、宮田純 84回)
Cancer Discovery.
2024;14(5):786-803. doi 10.1158/2159-8290.CD-23-0902
Horie S, Saito Y, Kogure Y, Mizuno K, Ito Y, Tabata M, Kanai T, Murakami K, Koya J, Kataoka K.
Kogure Y, Handa H, Ito Y, Ri M, Horigome Y, Iino M, Harazaki Y, Kobayashi T, Ishida T, Abe M, Ito S, Iwasaki H, Kuroda J, Shibayama H, Sunami K, Takamatsu H, Tamura H, Hayashi T, Akagi K, Shinozaki T, Yoshida T, Mori I, Iida S, Maeda T, Kataoka K.