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今月のサイエンス - 2021年09月

1: AIM2 regulates anti-tumor immunity and is a viable therapeutic target for melanoma.

J Exp Med.
2021 Sep 6;218(9):e20200962. doi: 10.1084/jem.20200962. Epub 2021 Jul 29.
Keitaro Fukuda, Ken Okamura, Rebecca L Riding, Xueli Fan, Khashayar Afshari, Nazgol-Sadat Haddadi, Sean M McCauley, Mehmet H Guney, Jeremy Luban, Takeru Funakoshi, Tomonori Yaguchi, Yutaka Kawakami, Anastasia Khvorova, Katherine A Fitzgerald, John E Harris

左から福田桂太郎(筆頭著者)、John Harris(責任著者)、岡村賢(共著者)

メラノーマは悪性度の高い皮膚がんで、CD8+T細胞浸潤に乏しいメラノーマは、免疫療法に反応しないことが知られています。故に、CD8+T細胞をメラノーマへ誘引する免疫治療が求められています。CD8+T細胞の腫瘍浸潤は、腫瘍浸潤樹状細胞(TIDC)が腫瘍由来DNAを細胞質内DNAセンサーのcGASで認識し、STING-I型インターフェロン(IFN)シグナルを活性化させることで、促進されることがわかっていました。しかし、細胞質内DNAセンサーのAIM2のTIDCにおける機能は不明でした。我々は、TIDC中のAIM2はがん免疫抑制作用があり、腫瘍内にAIM2を抑制した樹状細胞ワクチンを供給した上でがん免疫療法を行うと、STING-I型IFNシグナルの活性化に加え、IL-1β及びIL-18の産生が抑制されることで、CD8+T細胞の腫瘍浸潤が促進し、制御性T細胞の腫瘍浸潤が抑制され、免疫療法に反応しないメラノーマが反応するようになることを明らかにしました。TIDCのAIM2を標的とする治療は、メラノーマの新規免疫療法になりうることが示唆されました。
                             (皮膚科学教室 福田桂太郎 84回)

図:腫瘍浸潤樹状細胞(TIDC)におけるAIM2のがん免疫抑制メカニズム。AIM2はTIDCの細胞質に取り込まれた腫瘍由来DNAを認識し、制御性T細胞の腫瘍浸潤を促す作用のあるIL-1βおよびIL-18を産生する。また、CD8+T細胞の腫瘍浸潤を促進し、制御性T細胞の腫瘍浸潤を抑制するSTING- I型IFNシグナルを抑制する。故に、TIDCのAIM2を制御するとSTING- I型IFNシグナルが活性化し、IL-1βおよびIL-18の産生が抑えられ、CD8+T細胞の腫瘍浸潤が促進し、制御性T細胞の腫瘍浸潤が抑制される。

2: Current Status of and Perspectives on the Application of Marmosets in Neurobiology.

Annu Rev Neurosci.
2021 Jul 8;44:27-48. doi: 10.1146/annurev-neuro-030520-101844.
Hideyuki Okano

岡野(著者)

小型霊長類であるコモンマーモセット(Callithrix jacchus)は,ブラジルに生息する新世界ザルであり、ヒトと共通する社会行動学的特性と、優れた繁殖特性を示します。私は、2001年から、実験動物中央研究所との緊密な共同のもと、マーモセットを用いた脳科学さらには再生医療研究を開始しました。以降、マーモセットの脊髄損傷(2005)とパーキンソン病モデル(投稿中)の作成、マーモセット遺伝子改変個体作成技術の開発 (2009, 2016)と全ゲノム配列の決定(2016)(佐々木えりか博士との共同研究)、MRI脳アトラスの構築(図)に成功しました。このような成果から、マーモセットは、魅力的な実験動物としての評価が高まり,世界的な研究の一大潮流を生み出す事が出来ました。特に神経科学領域では、ヒトに近い脳を有し、遺伝子改変が可能なモデル動物として、大きな注目を集めています。このAnnual Review of Neuroscienceの総説論文では、マーモセットの神経科学研究を俯瞰し、脳の構造・機能の理解や疾患モデルへの応用に関する現状と将来の展望についてまとめてみました。
                              (生理学教室 岡野栄之 62回)

図の説明(同論文Figure1より転載): マーモセットの成体脳を9.4TMRIを用いて撮像して得られたデータベース(AMED革新脳プロジェクトで構築中)。 上のパネルは、左からマーモセット成体脳標本の超高解像度画像(Ex Vivo), T1強調(T1w),T2強調(T2w), Fractional Anisotropy(FA), 組織学的に区分された脳領域アトラスを示します。これらは,216頭の成体マーモセットから得られた脳画像を平均化したものであります。下のパネルは,拡散テンソル画像(DTI)に基づく構造的コネクトーム(左)および、安静時機能MRI(rsfMRI)に基づく機能的コネクトーム(右)を示しています。これらのデータを活用することにより、正常および疾患マーモセットの脳の構造と機能の詳細な解析が可能になりました。

その他の掲載論文

1: Vitreous metabolomics profiling of proliferative diabetic retinopathy.

Diabetologia.
2021 Jan;64(1):70-82. doi: 10.1007/s00125-020-05309-y.
Yohei Tomita, Gael Cagnone, Zhongjie Fu, Bertan Cakir, Yumi Kotoda, Masaki Asakage, Yoshihiro Wakabayashi, Ann Hellström, Jean-Sébastien Joyal, Saswata Talukdar, Lois E H Smith, Yoshihiko Usui

2: Artificial intelligence-enabled fully automated detection of cardiac amyloidosis using electrocardiograms and echocardiograms.

Nature Communications.
2021;12(1).

Goto S, Mahara K, Beussink-Nelson L, Ikura H, Katsumata Y, Endo J, Gaggin HK, Shah SJ, Itabashi Y, MacRae CA, Deo RC.

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