このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にしてご覧ください。
Hepatology2021 Jun;73(6):2594-2597. Doi: 10.1002/hep.31597.
Noguchi F, Chu PS, Taniki N, Yoshida A, Morikawa R, Yamaguchi A, Ikura A, Yamataka K, Hoshi H, Usui S, Ebinuma H, Saito H, Kanai T, Nakamoto N
自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis; AIH)は病態形成が不明な免疫難病であり、その罹病率は日本を含め世界的に増加傾向にあります。中でも重症型急性発症型AIH(Severe acute-onset AIH, SA-AIH)は内科的標準治療であるステロイドに抵抗性を呈することが多く、その際に免疫抑制治療を強化するか、肝移植に踏み切るかの判断基準はなく、国際ガイドラインにおいても推奨される二次治療薬剤に関する明確なエビデンスは存在しません。本研究において、当科で経験したSA-AIH 26例のうちステロイド治療が効果不十分でありカルシニューリン阻害薬であるシクロスポリンA(CsA)による二次治療が導入された症例8例について詳細な検討を行いました。CsA開始後7日目に肝予備能、および重症度の指標となるMELD-Naスコアは速やかに改善し、全例肝移植を回避し長期生存が得られることを報告しました。本研究は特に慢性的なドナー不足が課題である本邦において有意義な成果であり、今後も外科移植班の先生と連携しエビデンスレベルの高い治療体系の確立とより良い治療の提供を目指したいと考えております。 (内科学(消化器)教室 褚 柏松 86相当)