NATURE COMMUNICATIONS
8 10.1038/ncomms15338 MAY 22 2017
Kondo Taisuke, Morita Rimpei, Okuzono Yuumi, Nakatsukasa Hiroko, Sekiya Takashi, Chikuma Shunsuke, Shichita Takashi, Kanamori Mitsuhiro, Kubo Masato, Koga Keiko, Miyazaki Takahiro, Kassai Yoshiaki, Yoshimura Akihiko
免疫チェックポイント阻害剤が標準治療に用いられるようになって、がんの免疫療法は新時代を迎えている。腫瘍に集積している細胞障害性T細胞を体外で増幅して患者に戻す養子免疫療法もさかんに研究されている。しかし腫瘍に集まっているT細胞はすでに疲弊した状態にあり、増殖させることが難しい。そこで疲弊したT細胞を若返らせてもう一度活性化できれば強い抗腫瘍効果が得られるだろう。我々は一旦活性化し疲弊したT細胞をNotchというシグナル分子を発現しているストローマ細胞と共培養すると、未感作状態の若返った細胞が出現することを見出した。このT細胞はは他のどの種類のT細胞よりも素早く抗原に反応して増殖し、寿命も長く、抗腫瘍活性が強かった。メカニズムはまだわからないが、疲弊したT細胞をストローマ細胞と共に培養するという簡便な方法で若がらせることが可能であることが示された点で、今後の抗腫瘍免疫療法に大きなインパクトを与えると考えられる。
(微生物学免疫学教室 吉村昭彦 60相当)