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今月のサイエンス - 2016年12月

1: Obesity accelerates T-cell senescence in visceral adipose tissue.

J Clin Invest.
2016 Nov 7. pii: 88606. doi: 10.1172/JCI88606.
Shirakawa K, Yan X, Shinmura K, Endo J, Kataoka M, Katsumata Y, Yamamoto T, Anzai A, Isobe S, Yoshida N, Itoh H, Manabe I, Sekai M, Hamazaki Y, Fukuda K, Minato N, Sano M.

左から佐野元昭君、白川公亮君、遠藤仁先生君

白川公亮、佐野元昭(循環器内科)らは、京都大学免疫細胞生物学教室の湊長博教授らとの共同研究で、肥満に伴い内臓脂肪組織に始まった慢性炎症が全身に波及して糖尿病が引き起こされる機序に、細胞表面にPD-1(Programmed cell death 1)を
高発現している特殊なCD4陽性 T細胞集団が関与していることをマウスで見出しました。このT細胞集団は、肥満マウス特異的に、内臓脂肪組織中において、B細胞依存的に出現し、抗原刺激に対する増殖能や通常のサイトカイン分泌能は低下していますが、senescence
associated ß-galactosidase活性を示すなど細胞老化の特徴を兼ね揃え、PD-1を介する抑制シグナルの影響を受けずにオステオポンチンを大量に産生して、内臓脂肪組織の慢性炎症の機転となっておりました。このT細胞集団は、高齢マウスの免疫老化(獲得免疫能の低下や慢性炎症状態)の原因となっている「加齢随伴T細胞」と非常に良く似た形質を持っていることが分かりました。 加齢と内臓脂肪型
肥満は、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病だけでなく、易感染、癌、自己免疫疾患の発症とも密接に関係し、健康長寿を阻む大きな要因となっています。免疫老化を制御する治療が、加齢および内臓脂肪型肥満を基盤に発症する様々な疾病の予防や治療に繋がる可能性が期待されます。

(循環器内科 佐野元昭 71回、白川公亮 88回)

2:Exogenous remodeling of lung resident macrophages protects against infectious consequences of bone marrow-suppressive chemotherapy.

PNAS
113 (41):E6153-E6161; 10.1073/pnas.1607787113 OCT 11 2016
Kamei Akinobu*, Gao Geli, Neale Geoffrey, Loh Lip Nam, Vogel Peter, Thomas Paul G., Tuomanen Elaine I., Murray Peter J.*

左から、筆者(亀井)、共同責任著者のマレー博士

化学療法により骨髄機能が抑制されると、好中球などの免疫細胞が減少し、宿主の感染リスクが高まります。組織に常駐する白血球の一種であるマクロファージの一部は、胎生期に出現した後、骨髄に頼らず組織内で自律的に維持されることが近年明らかになりました。私達は、肺の免疫学的環境、特に組織常在型マクロファージを再構築することで、骨髄抑制に伴う宿主免疫能の低下を代償できるのではないかと考え、この仮説を動物モデルで検証しました。ワクチンをマウスに経気道投与することで、Tリンパ球の助けを得た肺のマクロファージを主要なエフェクターとする、好中球や単球に依存しない抗緑膿菌免疫を誘導できました。さらに、ワクチン投与後の肺に、局所での細胞分裂で維持される、肺胞マクロファージ(AM)とは形質の異なるマクロファージ群(ViM)を見つけました。ViMは、その遺伝子発現等からAMに由来することが示唆される一方、AMとは異なり、抗がん剤投与で減少せず、より優れた抗細菌活性を持つ事も分かりました。今後、ViMが誘導され維持される機序を詳しく解明することで、骨髄抑制患者を重症感染症から守る新たな戦略につなげたいと考えています。

(セントジュード小児研究病院 亀井聡信 小児79回)

文献調査協力:信濃町メディアセンター
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