Neurology.
First published September 29, 2022, DOI: https://doi.org/10.1212
Sho Shimohama, Toshiki Tezuka, Keisuke Takahata , Shogyoku Bun, Hajime Tabuchi, Morinobu Seki, Yuki Momota, Natsumi Suzuki, Ayaka Morimoto, Yu Iwabuchi, Masahito Kubota, Yasuharu Yamamoto, Yasunori Sano, Ryo Shikimoto, Kei Funaki, Yu Mimura, Yoshinori Nishimoto, Ryo Ueda, Masahiro Jinzaki, Jin Nakahara, Masaru Mimura, Daisuke Ito
認知症の最大原因であるアルツハイマー病は、認知症全体の6割以上を占めるといわれています。現在、認知症の診断には、神経心理検査、頭部MRI、脳血流検査などを行い総合的に判断します。ただしどれも決定的な検査ではなく、誤診率は2-4割あるといわれています。この誤診率の高さが、臨床研究、適切な治療、介護の選択に大きな障壁となっています。当院メモリーセンターと量子科学技術研究開発機構からなるチームは、本研究により認知症診療において、アミロイドPETとタウPET検査を併用することにより認知症診断が約35%、治療や管理も約30%改善することを見出しました。また、認知機能正常例でもPET検査陽性者が多数おり、発症前、リスク診断にも有用であると考えられました。本研究成果は、近年注目されているアルツハイマー病抗体医薬の承認過程にも大きな影響を与える研究として注目されています。
(生理学 伊東大介 71回)
Gastroenterology
2022; 163(5): 1391-1406.e24.
Ishikawa K, Sugimoto S, Oda M, Fujii M, Takahashi S, Ohta Y, Takano A, Ishimaru K, Matano M, Yoshida K, Hanyu H, Toshimitsu K, Sawada K, Shimokawa M, Saito M, Kawasaki K, Ishii R, Taniguchi K, Imamura T, Kanai T, Sato T.
体が大きく寿命が長いヒトは、体が小さく寿命が短いマウスよりも多く細胞分裂を繰り返し遺伝子変異が蓄積するにも関わらず、ヒトが癌になりにくいのはなぜでしょうか?ヒトの細胞周期が遅いからです。これまで腸管上皮幹細胞の研究はマウスで行われてきましたが、ヒト大腸幹細胞の機能、上皮傷害再生時の役割は解明されていませんでした。今回、患者さんから頂いた正常大腸上皮をオルガノイドを用いて3次元培養し、ゲノム編集技術、大腸同所移植を組み合わせて、ヒト大腸幹細胞の生体内での動きを可視化し観察することに成功しました。ヒト大腸幹細胞の多くは、休止期に存在しp27を発現していました。また、休止期幹細胞が普段はゆっくり増殖しますが、上皮傷害に耐性があり再生時には増殖が速くなること、休止期はTGF-βにより制御されていることを、生体内モデルで実証しました。今回の研究は、様々な臓器の上皮再生、癌の発生機序の解明の礎となることが期待されます。
(内科学(消化器) 石渡景子 91回、 オルガノイド医学 佐藤俊朗 76回)
Bioengineering and Translational Medicine.
2022 Sep 10; doi.org/10.1002/btm2.10406
Ryota Tamura, Hiroyuki Miyoshi, Kent Imaizumi, Masahiro Yo, Yoshitaka Kase, Tsukika Sato, Mizuto Sato, Yukina Morimoto, Oltea Sampetrean, Jun Kohyama, Munehisa Shinozaki, Atsushi Miyawaki, Kazunari Yoshida, Hideyuki Saya, Hideyuki Okano, Masahiro Toda
悪性神経膠腫は、浸潤性・治療抵抗性のグリオーマ幹細胞(GSC)の存在により、予後不良である。本報告では、ヒトiPS細胞由来の神経幹細胞(NSC)をdelivery vehicleとして用いた腫瘍浸潤性を標的とする治療法を開発した。まず、NSCのグリオーマ細胞に対する遊走性を生み出す分子としてEphB-ephrinB 及びCXCL12-CXCR4 シグナルを同定した。次に、iPS細胞に導入する治療遺伝子としてyCD-UPRT(プロドラッグ5-FCを抗癌剤5-FUに変換)を選定したが、ウイルスベクターによる遺伝子導入では、染色体にランダムに挿入され、遺伝子が不活性化したため、CRISPR/Cas9を用いて、恒常的な遺伝子発現を実現する最適な挿入位置を同定した。こうして樹立した治療用NSCはGSCモデルに対して高い治療効果を示した。細胞治療と遺伝子治療を組み合わせた本研究開発は、様々な遺伝子細胞療法へ応用可能なプラットフォームとなると考えている。
共著者である三好浩之先生は、研究の途中で急逝されてしまいました。本研究の発展に多大なるご尽力をされ、ここに感謝の意を表します。
(脳神経外科 田村亮太 89回、戸田正博[責任著者]、生理学 岡野栄之)
Nat Commun.
nuary 5, 2021 118 (1) e2012482118; DOI: 10.1073
Shogo Ito, Hisayuki Hashimoto, Hiroyuki Yamakawa, Dai Kusumoto, Yohei Akiba, Takahiro Nakamura, Mizuki Momoi, Jin Komuro, Toshiomi Katsuki, Mai Kimura, Yoshikazu Kishino, Shin Kashimura, Akira Kunitomi, Mark Lachmann, Masaya Shimojima, Gakuto Yozu, Chikaaki Motoda, Tomohisa Seki, Tsunehisa Yamamoto, Yoshiki Shinya, Takahiro Hiraide, Masaharu Kataoka, Takashi Kawakami, Kunimichi Suzuki, …Shinsuke Yuasa