ごあいさつ
病院長メッセージ
患者のために考え・行動し・全力を尽くせる医療人を目指そう
プログラム総責任者 病院長 松本 守雄
慶應義塾大学病院(慶應病院)は理念の冒頭に「患者さんに優しく、患者さんに信頼される、患者さん中心の医療を行う」ことを掲げています。これは簡単なようで実は容易なことではありません。優しいというのは単に親切ということではなく、患者さんやご家族の立場になって最善の診療が行えるということでもあります。そのような取り組みの積み重ねにより患者の皆さんからの信頼を得ることができます。また、診療は医師1人ではできません。指導医、同僚、コメディカルの方々とチームを組んで行い、その中心に患者さんがいます。慶應病院の研修プログラムはこのように患者さん中心の医療を全力で提供できる医師の養成を目指しています。
慶應病院は1920年に北里柴三郎博士を初代病院長として開院いたしました。北里博士は「各科の分立を防ぎ、基礎医学と臨床医学の連携を緊密にし、学内は融合して一家族の如く、全員で医学の研鑽に努める」ことを方針に掲げました。その後、100年にわたり北里博士の精神を脈々と受け継ぎ、今では国内外から高く評価される病院となりました。現在、慶應病院では31の診療科が互いの垣根を無くし、すべての職種が協力して患者の方々に質の高いチーム医療を提供しています。コロナの影響を受ける前の年、2019年には外来で年間延べ87万人(一日平均約3,200人)、入院で同31万人(一日平均約850人)の患者さんの治療を行いました。手術センターでは最先端の医療機器を備えた25室で約16,000件(うち全身麻酔8,800件)と全国屈指の数の手術を行っています。また、年間延べ16,500人の救急搬送を受け入れ、集中治療センター(ICU, HCU)などに収容して質の高い高度急性期医療を提供しています。新生児、小児ICUも整備し、無痛分娩も導入し年間600件以上の分娩を行うなど周産期・小児医療にも力を入れています。さらに当院は多くの関連病院や医療連携協力機関とともに地域医療に貢献しています。また、私学では初めてとなる臨床研究中核病院として基礎臨床一体型の臨床研究・治験を進め、先進的な医療の提供に取り組んでいます。このように、慶應病院はあらゆる分野・領域で精力的な医療活動を行っています。慶應病院はもとより、関連病院、連携医療機関にも教育熱心な指導医が数多く在籍し、チームの一員となった研修医の皆さんに対し親身になって指導に当たっています。研修プログラムを通じて医師としての基本的な知識、態度、考え方、診療技術を身につけるだけでなく、将来のキャリアパスにも道を開き、希望に応じて豊富な慶應関連の専攻医プログラムに進む機会にもつながります。
2022年春にはエントランス棟、外構も含めて新病院棟がグランドオープンいたします。新たな素晴らしい舞台で、皆さんが医師としてのスタートを切り、成長してくれることを切に願っております。
センター長メッセージ
熱意ある指導医と仲間とともに、慶應義塾大学病院で医師としての第一歩を踏み出そう!
卒後臨床研修センター長 山口 慎太郎
2025年10月より、卒後臨床研修センター長を拝命いたしました山口慎太郎と申します。私は2005年に慶應義塾大学医学部を卒業し、慶應義塾大学病院の地域‐大学循環プログラムで医師としての第一歩を踏み出しました。1年目は下町情緒の残る市中病院で研修し、指導医の経験に裏打ちされた知識と判断力に圧倒される一方で、患者さんの背景や生活に目を向ける温かい姿勢から多くを学びました。「とにかくベッドサイドに行きなさい」という教えを胸に病棟へ足を運び続ける中で、患者さんと少しずつ信頼関係を築くことができました。論理的な思考と情、その両方が医師に不可欠であることを強く実感した研修医としての日々は、今も私の医師としての姿勢を支える原点となっています。
「三つ子の魂百まで」という言葉があるように、初期臨床研修をどこで、どのように過ごすかは、その後の医師人生を大きく左右します。基本的な診療能力を身につけることはもちろん、医療人としての倫理観を涵養することも重要です。これらは将来どの診療科に進むにしても揺るがない基盤となります。患者さんの命を預かるという責任を胸に、重責から逃げず、真正面から向き合う経験こそが、医師としての大きな成長につながります。
近年、市中病院で研修を選ぶ方が増えています。豊富な症例や手技を経験できることが、その大きな魅力です。一方で、大学病院ならではの強みは、難しい症例に直面した際に、日本を代表する各分野の専門家とすぐに相談できる環境が整っていることです。また、幅広い診療科をじっくり経験できることは、将来の専門分野を決める上で大きな助けになります。さらに、最先端の医学研究を間近で体験できることも、大きな刺激となるでしょう。慶應義塾大学病院では、慶應メディカルアライアンスのネットワークを最大限に活かし、研修医教育に一層熱意を注げる体制づくりを進めてまいります。
研修は決して受け身では進みません。自分の課題を明確にし、困った時には迷わず周囲に相談してください。この2年間が、皆さんにとって将来を支える日々となるよう、私たち卒後臨床研修センターは挑戦を全力で後押しし、困難に直面した時には再び立ち上がる力となれるよう努めてまいります。