臨床研修修了コンピテンシー

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Ⅰ.プロフェッショナリズム 医師としての責務・倫理観を理解し,患者中心の医療を尊重するとともに,生涯にわたって学び続けることができる。 基本的資質,価値観,法律,行動規範,倫理綱領・規定の遵守,医師としての職責,患者中心,守秘義務(個人情報),行動科学,生涯教育,自律的学習。 1) 医師としてのあり方 人間の尊厳を尊重し,患者の福利を優先して行動できる。
2) 医師としての行動規範 医師として適切な身なり,言葉遣い,振る舞いを実践できる。
3) 医の倫理と生命倫理 医の倫理と生命倫理の原則を理解し,それに基づき,適切に行動できる。
4) 法的理解 法的責任・規範を遵守し,適切に行動できる。
5) 社会正義 医療資源,医療システムの公平性を理解し,患者とその家族の心理・社会的要因と社会的背景を配慮し,その立場を尊重できる。
6) ヒューマニズム 患者の自律性を尊重し,敬意,思いやり,共感,誠実,正直,高潔な心で,対応することができる。
7) 自己研鑽・生涯学習 自己の資質・能力の向上を目指し,生涯にわたり自律的に学び続けることができる。
8) 専門職としての意識 独立自尊の気風を養い,自己管理・自己評価を行い,自身で責任を持って考え,行動できる。
9) 個人情報,プライバシーへの配慮 患者情報など個人情報を守秘し,プライバシーに配慮することができる。
Ⅱ.医学知識 診療の基盤となる基礎医学,社会医学,基本的な手技,初期治療法などに関する以下の領域の知識を修得し,応用することができる。 基本的な臨床検査,基本的手技,基本的治療法,医療記録,診療計画,鑑別診断,初期治療 1) 基本的な臨床検査と評価 診療に必要な検査, 方法を理解し, 結果を解釈できる。
2) 基本的手技 基本的手技の適応と正しい手順を理解し,活用できる。
3) 基本的治療法 基本的治療法の適応と実践を理解し,活用できる。
4) 診療記録の作成 医療関連法規に基づき適切かつ診療上必要な文書を作成できる。
5) 診療計画の策定 保健・医療・福祉の各方面に配慮した診療計画を立案し,実行できる。
6) 頻度の高い症状の種類と診断,初期治療法 患者の症状と身体所見,検査所見に基づく適切な鑑別診断をあげ,初期対応を理解し,活用できる。
7) 緊急を要する症状・病態の初期治療法 緊急を要する症状や病態を判断し,適切な初期治療を理解し,活用できる。
Ⅲ.診療の実践 常に自ら臨床技能を向上する姿勢をもち,患者とその家族の苦痛や不安を配慮し,他職種との連携の下で,患者中心の診療を実践することができる。 臨床技能,臨床推論,診療マネジメント,患者中心医療 1) 医療面接 患者とその家族と良好な関係を構築し,適切な医療面接を行うことができる。
2) 医療情報の収集 患者とその家族,他の医療者から、患者の健康状態や心理社会的背景に関する情報を収集できる。
3) 身体診察 基本的治療法の適応と実践を理解し,活用できる。
4) 臨床手技 基本的臨床手技や緊急処置を安全にかつ適切に実施できる。
5) 臨床推論 臨床推論に基づいた系統的な鑑別診断ができる。
6) 診療マネジメント 患者の診療計画を的確に立案し、疾患管理や予防を実践できる。
7) プレゼンテーション 患者の症状や経過、問題点、病態、方針等を適切にプレゼンテーションし、チームの医療者と情報共有ができる。
8) 患者中心の医療 患者とその家族の心情や苦痛を真摯に受け止め,誠実かつ的確な医療を実践できる。
Ⅳ.コミュニケーション 患者の心理・社会的背景を踏まえながら,患者とその家族と良好な関係性を築き,意思決定を支援できる。 患者の心理の理解,説明,信頼関係,連携,社会 1) 医師—患者関係 患者とその家族の心理・社会的背景を理解し,誠実な態度で適切な医師-患者関係を構築できる。
2) 説明する能力 患者とその家族に思いやりをもってわかりやすい言葉で適切に説明できる。
3) インフォームドコンセント 患者の主体性を尊重しながら,患者とその家族にとって必要な情報(医療行為の必要性・内容・危険性・その他)をわかりやすい言葉で説明し、その意志決定を支援できる。
Ⅴ.医療・福祉への貢献 医療の持つ社会的側面の重要性を理解し,社会に貢献することができる。 社会貢献,保険医療,地域医療 1) 医療・社会福祉関連法規・制度 医療関連,高齢者関連,社会福祉に関連する法規と制度を理解し,診療に活用できる。
2) 医療保険,介護保険,公費負担医療 医療保険,介護保険,公費負担医療を理解し,診療に活用できる。
3) 保健・医療・介護・福祉関連の社会資源・サービス 地域の保健・医療・介護・福祉に関する事業や社会資源・サービスを理解し,診療に活用できる。
4) 地域医療,救急医療,予防医療,緩和ケア・終末期医療 地域医療,救急医療,予防医療,緩和ケア・終末期医療を理解し,患者中心の医療を実践できる。
Ⅵ.科学的探究 将来Physician scientistとなるための基本姿勢を修得し,その一歩を踏み出すことができる。 臨床と研究,個人情報保護 1) 医学研究の意義 医学研究が医学・医療の発展や患者の利益の増進を目的とすることを理解することができる。
2) 論理的思考 科学的思考に基づいた批判・討論ができ,未解決な医学的課題に対して解決仮説を立案できる。
3) 研究倫理,個人情報保護 臨床研究(症例報告を含む)における倫理的な配慮ができる。
4) 適切な情報収集能力 データベースを検索し,必要な科学情報を得ることができる。
5) 統計学的解析 統計手法を理解し,その結果を解釈できる。
6) 論文作成 症例報告など臨床論文を作成できる。
Ⅶ.国際医療人としての資質 国際医療人としての視点で医療ができる。 1) 英語のリテラシー 英語の医学・医療情報を入手し,理解し,英語での情報発信や診療ができる。
2) 医学医療に対するグローバルな視点 健康問題や疾病予防について国際的視野に立って理解できる。
Ⅷ.医療安全と医療の質 患者および医療者にとって良質かつ安全な医療を提供することができる。 医療の質,安全管理,感染対策,インシデント・アクシデント事例,健康管理 1) 医療の質の向上 医療の質の向上により,人類の福祉に貢献することの重要性を理解し,向上に取り組むことができる。
2) 安全管理 医療事故防止に関する基礎知識を有し,医療における安全管理を実践できる。
3) 感染対策 感染対策に関する基礎知識を有し,感染予防対策を実践できる。
4) 医療者の自己管理 医療者の自己管理が患者への良質かつ安全な医療の提供に必要であることを理解し,自己管理ができる。
5) 医薬品や医療機器における健康被害 医薬品や医療機器による健康被害の発生防止について理解し,適切に対応できる。
Ⅸ.チーム医療 医療チームの構成員としての役割と,患者とその家族に関わるすべての人々を理解し、連携することができる。 多職種連携,患者中心医療,チーム医療,連携 1) チーム医療の理解 患者中心の医療を行うため,患者に関わる各職種の役割を理解することができる。
2) チーム医療の実践 医療チーム内の信頼関係を構築し,各職種と連携できる。
3) 地域との連携 地域包括ケア等を提供するため、関係機関や諸団体の役割を理解し連携することができる。

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