博士課程合同サマースクールは、慶應義塾大学医学研究科、カロリンスカ医科大学(スウェーデン)、キングズ・カレッジ・ロンドン(英国)、および北京大学医学部(中国)の国際共同プログラムとして2012年に開始されました。本プログラムは、各国の優秀な博士課程学生が一堂に会し、各大学の教員から最先端の知識を学ぶとともに、学生同士の研究交流を深めることを目的としています。参加する4大学が持ち回りでホスト校となり、レクチャーコースを中心としたプログラムが実施されています。
2025年度のサマースクールは、6月30日(月)から7月4日(金)にかけて北京大学医学部をホスト校として開催され、「Artificial Intelligence in Medicine」をテーマに実施されました。北京大学医学部、キングズ・カレッジ・ロンドン、および本学から、教員(各2~5名)および博士課程学生(各4~10名程度)が参加しました。本学からは、同プログラムの立ち上げメンバーである薬理学教室の安井正人教授をはじめ、WPI-Bio2Qの小山尚彦特任教授、医療政策・管理学教室の立森久照特任教授が講義を担当しました。北京大学およびキングズ・カレッジ・ロンドンからは、健康データサイエンス、生物統計学・医療情報学、生体医工学・イメージング科学など、多様な分野の教員が講義を行い、すでに研究テーマに接点を持つ参加者同士では、講義終了後も活発な質疑応答や意見交換が行われました。
本プログラムではディスカッションの機会が多く、学生と講師の垣根を越えた活発な交流が展開されました。プログラムの中日には、北京大学医学部の学生ボランティアによる構内見学ツアーが実施され、広大なキャンパスを巡る中で他大学の学生や講師との自然な交流が生まれ、関係性を深める貴重な機会となりました。こうした交流を経て、全講義終了後に行われた「Round Table Session」では、講師陣が自身の研究分野に基づいて話題を提供し、学生も観客席から積極的に意見を述べるなど、医学におけるAIの今後について多角的かつ熱のこもった議論が交わされました。
最終日には、博士課程の学生たちがグループに分かれ、講師が事前に用意した問いに対し、自身の研究分野や独自の発想をもとに全体発表を行いました。医学分野で注目が高まるAIに関して、その有用性や活用の限界、人間とAIの関わり方といったテーマについて、学生たちからは多様で鋭い視点が示されました。
2026年度の博士課程合同サマースクールは、キングズ・カレッジ・ロンドンがホスト校となり、引き続き「AI×Health Science」をテーマに開催される予定です。本プログラムの参加者の中から将来のグローバルリーダーが輩出され、参加校による「AI×Health Science」の国際的なアライアンスの形成へとつながっていくことが期待されます。