2023年12月10日、慶應義塾大学医学部主催の第8回健康医療ベンチャー大賞のリーグ横断最終審査会が開催されました。
今回、8回目を迎える本コンテストには全国115チームからの応募がありました。今年度よりビジネスプランの分野別の審査体制となり、「創薬・SaMDリーグ」、「ウェルネスリーグ」、「医療機関リーグ」、そして学生部門の審査を1年かけて行ってきました。各リーグの優勝者および学生部門のファイナリストが集い、12月10日に日本橋高島屋三井ビルディング日本橋ホールにて、それぞれの部門の総合優勝を決めるリーグ横断最終審査会が開催されました。
115チームの中から各リーグ予選・リーグ決勝を勝ち抜いた3チームと、学生部門で1次予選・2次予選を勝ち抜いた3チームの合計6チームは、医療やビジネスの専門家からアドバイスを受け、それぞれのビジネスプランを入念にブラッシュアップしてリーグ横断最終審査会に臨みました。
学生部門での優勝を勝ち取ったのは、小児科病棟に長期入院する患者向けのプログラム「入院という時間をちょっと特別にする、小学生向けプログラムAdventure」を提供するChild Play Labo / 慶應義塾大学看護医療学部所属の猪村真由さんでした。同チームは学生部門のオーディエンス賞および、協賛LINK-Jによる企業賞「LINK-J×慶應義塾大学賞」も受賞されました。同チームの明確なターゲット層に対して適切に練られた課題解決のプロダクトが審査員に評価され、オーディエンスの支持も集めました。
リーグ横断最終審査で総合優勝を勝ち取ったのは、デジタルアートとセンサーを活用した障害児者向けリハビリツール「デジリハ」の開発チーム、株式会社デジリハでした。同チームはあずさ監査法人による企業賞「あずさ監査法人 インキュベーション賞」も受賞されました。同チームは森ビル株式会社をリーグメインスポンサーに迎えたウェルネスリーグの優勝者で、リハビリの課題に向けた解決方法やビジネスモデルが明確な点、個別化されたサービスを提供できる点が審査員に評価されました。
また、社会人部門のオーディエンス賞を受賞したのは、がん細胞内特異的に人工DNAを形成し、自然免疫を利用して細胞死に誘導する「がん溶解性ヘアピン核酸対」を開発するチーム東京核酸合成株式会社でした。同チームはLINK-J supported by Blockbuster TOKYOをリーグメインスポンサーに迎えた創薬・SamDリーグの優勝者で、技術の独創性が評価されました。
また、クレコンリサーチ&コンサルティング株式会社による企業賞「CRECON Bioinformatics & Data Analytics賞」には、AYA世代のがんとキャリアの情報共有サービスを考案した産業能率大学所属の山崎美紗さんが選ばれました。課題解決に向けた情熱と的確なプレゼンテーションが評価されました。
惜しくも受賞には届かなかったものの、IBD治療を医師と患者さんで共に決めていくための支援アプリを提供する日本鋼管病院所属の渕上綾子さんは特定領域の患者様のニーズに向き合っている情熱が評価され、学生部門のストレスマネジメントとしての神社仏閣コミュニティビジネスを提案する、ドルトン東京学園中等部所属の今井結菜さんは学生らしい柔軟な発想が評価されました。
シンポジウム①では『大学発ベンチャーが成功するためには』と題して、
・シンポジスト:慶應義塾 常任理事 / 株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ代表取締役社長 山岸広太郎氏
・シンポジスト:慶應義塾大学 法科大学院・医学部外科教授 / 参議院議員 / 弁護士 古川俊治氏
・シンポジスト:Spiber株式会社 代表執行役 関山和秀氏
・モデレーター:慶應義塾大学医学部 副医学部長(イノベーション推進担当) 中村雅也氏
にご参加いただきました。
シンポジウム②では『ベンチャーことはじめ〜学生が起業することで拡がるキャリアの可能性〜』と題して、
・シンポジスト:株式会社Pleap 共同代表取締役 / 慶應義塾大学医学部 5年 中原楊氏
・シンポジスト:株式会社mairu tech 代表取締役 大村慧氏
・モデレーター:健康医療ベンチャー大賞 実行委員長
慶應義塾大学医学部・医学研究科 医科学研究連携推進センター センター員
産婦人科学教室 助教 大岡令奈氏
にご参加いただきました。
「育てるベンチャー大賞」というビジョンをもって開催される本イベントは、健康医療の分野でイノベーションを起こし社会を先導する方々にスポットライトを当て、支援する活動を続けていきます。2024年度には第9回の開催が予定されています。