10月27日、リトアニア共和国の首相イングリダ・シモニーテ氏が大使らとともに慶應義塾大学信濃町キャンパス・病院に来訪されました。シモニーテ首相はリトアニア-日本の修好100周年記念のため来日中でした。
はじめに松本守雄病院長から、がんや人工知能を含めた多領域にわたる慶應義塾大学病院の斬新な取り組みについて紹介し、首相は感銘された様子でした。
次に、日本医療研究開発機構(AMED)の初代理事長を務めた医化学教室の末松誠教授から、日本とリトアニアの国家間の共同研究について概説されました。末松教授は両国の共同研究の礎を築いた功績に対して、2018年にリトアニア共和国からCross of Officer of the Order for Merits to Lithuania勲章を叙されており、未来を見据えた活発な議論がなされました。
つづいて、臨床遺伝学センターの小崎健次郎教授から、2016年以来のビルニウス大学およびリトアニア保健大学病院との共同研究の成果について説明が行われました。32名の診断不明のリトアニア人患者さんについてゲノム解析を行い、半数に診断が得られたことやUPF1異常症という新しい疾患が発見されたことが解説されました。
最後に、グランドオープン直後の真新しい病院内および臨床遺伝学センターでのバイオインフォマティクス研究の現場を視察されました。シモニーテ首相からは「サイエンスの興隆は国家の基礎である」「リトアニアと日本の医学研究者が手をたずさえて人類全体のために研究を進めているのは本当に喜ばしいことだ」との所感をいただきました。
福澤諭吉先生はリトアニアを初めて訪れた(1862年)日本人の一人と言われており、160年を経てリトアニア首相が来訪され一層の親善が深められたことに、リトアニアと日本、慶應義塾の縁の深さを感じる機会となりました。