慶應義塾大学医学部学生は卒業までに、コンピテンスI~VIII (科目の履修により修得される能力)を身につける。

I. プロフェッショナリズム

慶應義塾大学医学部学生は、卒業時に、

  1. 患者の利益を優先し、利他的に行動できる。
  2. 医の倫理と生命倫理の原則を理解し、それに基づき、行動できる。
  3. 生涯にわたり自律的に学ぶことの意義を理解し、実践できる。
  4. 独立自尊の気風を養い、自己管理・自己評価を行い、責任を持って行動できる。
  5. 医師としてふさわしい身なりと立ち振る舞いができる。
  6. 法的責任を理解し、規範を遵守できる。
  7. 個人情報を守秘する責務を理解し、実践できる。
  8. 利益相反が生じる可能性を認識し、適切に対応できる。
  9. 医療システムにおける医療資源の公平性を理解できる。
  10. 医学、医療の発展、人類の福祉に貢献することの重要性を理解できる。

II. 医学知識

慶應義塾大学医学部学生は、卒業時に、診療や研究の基盤となる基礎医学、社会医学、臨床医学、行動科学領域の知識を修得し、応用できる。

  1. 基礎医学の知識を、疾患の病因・病態・症候等の理解に応用できる。
  2. 社会医学の知識を、医療・保健活動に応用できる。
  3. 高頻度または重要な疾患について、疫学・病因・病理・病態・症候・診断・治療・予後の知識を修得し、適切な診療ができる。エビデンスを吟味し、臨床判断に応用できる。
  4. 人間の生涯にわたる行動と心理の特性を理解し、適切な対応と医療を提供できる。

III. 診療の実践

慶應義塾大学医学部学生は、卒業時に、

  1. 患者の病歴を適切に聴取できる。
  2. 身体診察を適切に実施できる。
  3. 基本的臨床手技や緊急処置を安全に実施できる。
  4. 主要な検査所見を解釈し、診療に活用できる。
  5. 臨床推論に基づく診断過程を系統的に実施できる。
  6. 臨床推論の過程を反映させた診療録を作成できる。
  7. 患者の療養計画及び疾患管理・予防計画を策定できる。
  8. 監督・指導のもとで、患者とその家族に病状説明・指導を実施できる。
  9. 医療安全・感染対策の重要性を理解し、実践できる。
  10. 文献や医療情報データベースなどを用いて関連情報を検索し、EBMを実践できる。

IV. コミュニケーション

慶應義塾大学医学部学生は、卒業時に、

  1. 患者およびその家族と、傾聴、共感、支持的態度を示すコミュニケーションを実践できる。
  2. 同僚や他の医療職と適切なコミュニケーションを実践できる。
  3. 社会、地域からの医療に対するニーズを理解できる。

V. チーム医療の実践

慶應義塾大学医学部学生は、卒業時に、

  1. 医療チーム構成員それぞれの役割を理解し尊重しながら、患者中心の医療を提供するために連携できる。
  2. 同僚と役割分担・情報共有・意思疎通・相談等を円滑に実行できる。
  3. 構成員間の意見の相違や軋轢を調整し、 円滑で効果的なチーム医療を先導できる。
  4. 同僚や関係者間で建設的なフィードバックを行い、共に学びあうことができる。

VI. 医療・福祉への貢献

慶應義塾大学医学部学生は、卒業時に、

  1. 保険制度をはじめとする診療提供システムを理解し、活用できる。
  2. 地域社会における地域包括ケア・救急医療・在宅医療・健康増進活動等を理解し、その活動に参加できる。
  3. 地域の保健・医療・介護・福祉の制度とシステムを理解し、自身の活動現場においてその知識を活用できる。
  4. 疾病予防や健康増進の活動に参加できる。
  5. 災害医療の特殊性とそれに関与する組織についての知識を修得し、災害発生時には適切に行動して社会や地域に貢献できるよう準備できる。

VII. 科学的探究

慶應義塾大学医学部学生は、卒業時に、

  1. 医学研究が医学・医療の発展や患者の利益の増進を目的とすることを理解できる。
  2. 科学的思考に基づいた批判・討論ができる。
  3. 医学・医療において既存の知識・技能では対応できない問題点を抽出し、それらを解決する過程に参画できる。
  4. 研究の立案・実践・発表における倫理的な配慮ができる。
  5. 文献や医療情報データベースを検索し、必要な科学情報を得ることができる。
  6. 実習・実験結果を的確にプレゼンテーションできる。
  7. 適切な統計手法を選択し、統計解析を実施できる。

VIII. 国際医療人としての資質

慶應義塾大学医学部学生は、卒業時に、

  1. 英語の医学・医療情報を入手、理解し、英語での情報発信ができる。
  2. 外国語の学習を通じて、文化の多様性、異文化について理解できる。
  3. 健康問題や疾病予防について国際的視野に立って理解できる。