臨床実習の概要

5学年から6学年2学期まで臨床実習が行われます。本実習では6-7名の小グループに分かれて各科をまわり、直接患者さんに接することで医学・医療的な知識を深めたり技術を高めるとともに、責任感や指導力、協調性など、医療に携わる者として不可欠な能力を学んでいきます。近年、臨床実習の重要性が増していることから、慶應義塾大学でも臨床実習の充実を図っています。以下にその特徴を説明します。

診療参加型臨床実習

臨床実習は、診療科によって診療参加型臨床実習と見学型臨床実習の2つの方法でおこなっています。診療参加型臨床実習とは学生が医療チームの一員となって研修医、指導医とともに診療にあたり、その過程で臨床医学を学ぶ方法です。もちろん学生が実際に診断や治療方針を最終決定することはありませんが、自分の力で患者さんから話を聞き自分で診察をして、診断や治療を考える機会を与えられます。従来は見学型臨床実習が主でしたが、最近は診療参加型臨床実習が中心となり、臨床に直接参加することによって勉学に対する強い動機付けを得るのみならず、学生時代から臨床推論(診断や治療を考えること)の訓練を開始しています。

臨床実習をおこなう診療科

慶應義塾大学医学部では、5学年で第1クール、5学年3学期から6学年にかけて第2クールと実習を進めています。

第1クール

医学科目を学ぶための基礎となる内科学(11週)、外科学(7週)、小児科学(2週)、産科学(2週)、婦人科学(2週)、精神医学(2週)、整形外科学(2週)、麻酔学・緩和医療(2週)、輸血臨床実習(1週)、臨床検査学(1週)について学びます。

第2クール

内科アドバンスト(4週)、放射線医学(2週)、泌尿器科学(2週)、耳鼻咽喉科学(2週)、眼科学(2週)、皮膚科学(2週)、救急医学(2週)、形成外科学(1週)、リハビリテーション医学(1週)、歯科学(1週)、病理診断実習(1週)、選択臨床実習(2週)を経験します。さらに、地域基盤型臨床実習(4週)では、慶應義塾大学医学部の教育関連病院に4週間滞在し、大学病院とは異なる環境の中で地域医療について学びます。

外部病院での実習

地域基盤型臨床実習、内科アドバンスト、選択臨床実習などでは、慶應義塾大学医学部の教育関連病院(慶應義塾大学医学部卒業生が多く勤務しており学生教育を依頼した病院)での実習も行っています。外部病院ではより実践的な実習や大学病院では症例数の少ないcommon disease(発生頻度の高い病気)の経験が可能です。

自習室

6学年の2月には医師国家試験があります。学生たちは、5学年頃から自主的に試験勉強を開始しています。キャンパス内の数カ所にある自習室や、信濃町メディアセンターのグループ学習室などを使って、夜遅くまで勉強をしている姿が見受けられます。