学位
医学博士
主な研究領域
高血圧、糖尿病、動脈硬化、内分泌代謝学、再生医学、抗加齢医学
略歴
| 1983年 | 京都大学医学部医学科 卒業 |
|---|---|
| 1989年 | 京都大学大学院医学研究科博士課程 修了、学位取得 |
| 1983年 | 京都大学医学部附属病院内科医員 |
| 1989年 | 米国ハーバード大学医学部 Brigham and Women's Hospital Molecula |
| 1990年 | 米国スタンフォード大学医学部循環器内科 Falk Cardiovascular Research C |
| 2000年 | 京都大学大学院医学研究科臨床病態医科学 第二内科病棟医長 |
| 2001年 | 京都大学大学院医学研究科臨床病態医科学講座 講師 |
| 2002年 | 京都大学大学院医学研究科臨床病態医科学講座 助教授 |
| 2006年 | 慶應義塾大学医学部内科学講座 教授 |
| 2009年 | 慶應義塾大学医学部総合医科学研究センター 副センター長 |
受賞・特許
| 1994年 | 成人血管病研究振興財団研究奨励賞 |
|---|---|
| 1994年 | 第３回日本動脈硬化学会 研究奨励賞 最優秀賞 |
| 1995年 | 第１５回日本内分泌学会 研究奨励賞 |
| 1996年 | 第１３回日本循環器学会Young Investigator's Award |
| 1997年 | 第９回日本内科学会 奨励賞 |
| 2002年 | 第５回日本心血管内分泌代謝学会 高峰譲吉研究奨励賞 |
| 2009年 | 平成21年度日本医師会医学研究助成費【 特許 】 |
| 2004年 | 「霊長類動物胚性幹細胞からの発生初期血管内皮細胞の製造方法及びその細胞使用」 特願2004-184138号 |
| 2004年 | 「内皮細胞分化増殖法」 特願2004-25631号 |
| 2004年 | ｢霊長類動物胚性幹細胞から血管系細胞への分化方法｣ 米国特許出願（2004年2月27日） |
研究内容
肥満、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、ＣＫＤ（慢性腎臓病）、心血管疾患に至る連続的臨床イベントを「メタボリックドミノ」という概念で捉え、包括的にその病態生理の解明、新規治療法の開発研究を実施している。これまでヒトES細胞から血管前駆細胞を同定し血管再生医療における有用性を示した(Nature2000, Blood2003, Circulation2003)。また、心血管ホルモン、特にレニンアンジオテンシン系、ナトリウム利尿ペプチド系に注目し、血管リモデリング制御(JCI1990, JCI1992, Lancet1992)、血管新生再生作用を発見しその臨床応用を報告した(Circulation2002, PNAS2003, Endocrinology2008)。最近では、レニンアンジオンテンシン系の新たなメンバーであるプロレニン受容体の細胞代謝における生理的意義を明らかにした(Circ Res2010)。また難治性高血圧症におけるアルドステロンの意義に注目し、ミネラルコルチコイド受容体(MR)のエピジェネティック制御を示し(JBC2008)、「MR関連高血圧症」を提唱している。一方、心血管ホルモンの新規作用として、長寿遺伝子Sirt1を介したミトコンドリア機能の制御、インスリン抵抗性/エネルギー代謝コントロール作用を見出した(Diabetes2008, Diabetes2009)。また、肥満に伴う心血管ホルモン活性化のメカニズムとして低分子量ＧタンパクRho/Rhoキナーゼの意義を明らかにした(Circulation2000, Mol Cell Biol2009, Science Signaling2011)。Sirt1に関して、エネルギー代謝の盛んな腎尿細管特異的過剰発現マウスを作製し、急性腎障害における意義を見出した(JBC2010)。これらの結果をもとに、実際の臨床の場において、腎老化に伴う心腎連関（CKDによる心血管イベントの発症）を惹起する病態として、腎尿細管虚血によるＣＫＤ、すなわち「虚血性腎症」を見出し、また、腎障害によりインスリン抵抗性、エネルギーバランスの障害が生じる病態として「腎性インスリン抵抗性症候群」の存在を明らかにした。現在、その臨床像の解析と、分子メカニズムにおける心血管ホルモンの意義(Circ Res 2008)、治療介入効果を検討している。
メタボリックドミノ
肥満、インスリン抵抗性など生活習慣病（高血圧、糖尿病、脂質異常症など）の成因、メタボリックシンドロームの発症、ＣＫＤ（慢性腎臓病）やそれらの合併症の進展について、時間軸を考慮した包括的臨床概念を提唱している。
肥満によるアデイポサイトカイン分泌異常、脂肪組織炎症、インスリン発症発症の原因解明
エネルギー過多による脂肪細胞での中性脂肪蓄積、脂肪細胞肥大により、細胞への物理的伸展刺激が生じ、低分子量ＧタンパクRho/Rhoキナーゼの活性化がおこることが悪性サイクルのスタートとなることを証明した。
代表論文
- Y Hara, S Wakino, Y Tanabe, M Saito, H Tokunaga, N Washida, S Tatematsu, K Yoshioka, K Homma, K Hasegawa, H Minakuchi, K Fujimura, K Hosoya, K Hayashi, K Nakayama, and H Itoh. Rho and Rho-kinase activity in adipocytes contributes to a vicious cycle in obesity that may involve mechanical stretch. Science Signaling 4:153 ra3, 2011
- N Sawada, H Itoh, K Miyashita, H Tsujimoto, M Sone, K Yamahara, ZP Arany, F Hofmann, K Nakao. Cyclic GMP kinase and RhoA Ser188 phospohrylation integrate pro- and antifibrotic signals in blood vessels. Mol Cell Biol. 29: 6018-6032, 2009.
- K. Yamahara, H. Itoh, T-H. Chun, Y. Ogawa, J. Yamashita, N. Sawada, Y. Fukunaga, M. Sone, T. Yurugi-Kobayashi, K. Miyashita, H. Tsujimoto, H. Kook, R.Feil, D.L. Garbers, F. Hofmann and K. Nakao. Significance and therapeutic potential of natriuretic peptides/cGMP/cGMP-dependent protein kinase pathway in vascular regeneration.Proc.Natl.Acad.Sci.USA100: 3404-3409, 2003.
- J. Yamashita, H. Itoh, M. Hirashima, M. Ogawa, S. Nishikawa, T. Yurugi, M. Naito, K. Nakao and S. Nishikawa. Embryonic stem cell-derived Flk1-positive cells serve as "vascular progenitor". Nature 408: 92-96, 2000.
- H. Itoh, M. Mukoyama, R.E. Pratt, G.H. Gibbons and V.J. Dzau. Multiple autocrine growth factors modulate vascular smooth muscle cell growth response to angiotensin II. J.Clin.Invest. 91: 2268-2274, 1993.
論文指導資格の有無
修士、博士
