2018年1月28日、三田キャンパス北館ホールで第2回健康医療ベンチャー大賞決勝大会が開催されました。
第2回健康医療ベンチャー大賞は、第1回を超える77チームから応募がありました。第1回と同様、医学部に限らず慶應義塾大学内からさまざまなプランが集まり、さらに、他大学、地方の病院、クリニック、民間企業からも多数の応募がありました。
1次審査(書類審査)、2次審査(面接)を経て、見事優勝を勝ち取ったのは、学生部門は「がん治療において革新をもたらす医療機器開発」をテーマに挑んだ山口大学工学部3年の小田喜さんのチームである“Medical-e”、社会人部門は「スマートフォンに接続してすべての眼科診療を可能にする革新的デバイス」をテーマとした本学医学部眼科学教室の明田さんを中心とするチームである“OUI Inc.”でした。
学生部門の“Medical-e”は、がん治療に用いられるデバイスの電流波形をコントロールすることで、医原性の合併症を防止するアイデアを動物実験まで行い検証していた点が評価されました。このアイデアが実現されれば、肝臓がんや膵臓がんの治療が、より安全かつ安価に提供されることが期待されます。社会人部門の“OUI Inc.”は、既に開発されている携帯電話装着型の眼底診察プロトタイプ(試作品)の安価な量産体制計画や、人工知能を組み合わせたビジネスモデルを作成している点が評価されました。この技術が社会で活用された場合には、発展途上国のような医療資源の乏しい地域でも、必要とされる眼科治療の普及が予想されます。
また、第1回に続き、日本マイクロソフト株式会社より協賛企業特別賞として「LGBTなどの社会的マイノリティを対象にした遠隔診療サービス」をテーマに挑んだ学生部門のチーム“ACT”が選ばれました。
質疑応答では、本学の学部長や研究科委員長を中心とする審査員の高度で専門的な質問がなされ、新たな課題が浮き彫りになる有意義な場となりました。
今回から、観覧者が審査に参加するオーディエンス賞が新設され、学生部門は「個人の体質に合わせたオーダーメイド漢方粥提供サービス」をテーマに挑んだチーム“Kampooh”、社会人部門は優勝チームの“OUI Inc.”が選ばれました。
オーディエンス審査では、参加チームと起業を支援する方とを繋ぐ取り組みも始められ、40を超える支援の申し出を頂きました。
審査委員からの総評として、研究成果を世に送り出そうという情熱に溢れた発表が行われたこと、前回にも増して、ユニークなアイデア・技術の完成度が高く、発表内容から実用化への流れやサービスイメージが伝わりやすかった点が評価されました。