3月26日、慶應義塾大学医学部主催による「健康医療ベンチャー大賞」の決勝大会が開催されました。ご協力頂きました多数の皆様に厚く御礼申し上げます。
本コンテストは慶應義塾大学医学部発のベンチャー育成の機運を高めるために、岡野栄之医学部長の下に設置された”知財・産業連携タスクフォース”により企画されました。慶應義塾内の他学部はもちろん、他大学や市中病院、また民間企業の塾員といった、学部間の壁、大学間の壁、そして大学と企業の壁も越えて70チーム以上の応募がありました。
予選において学生部門と社会人部門からそれぞれ5チームずつが選出されました。選出された計10チームは、2度に渡るヘルスケアベンチャーの専門家によるメンタリングを受け、それぞれのビジネスプランをブラッシュアップしました。
決勝大会は、慶應義塾大学三田キャンパス北館ホールにて開催され、清水雅彦常任理事、國領二郎常任理事、岡野栄之医学部長、坪田一男タスクフォース長も挨拶に立ちました。観覧は募集開始後早々に満員御礼となり、北館ホール・同時中継のサテライト会場も含め、熱気に包まれました。
学内外からお集まりいただいた審査員から、時として厳しい質問が浴びせられる中、各チームはそれに耐え、見事なプレゼンテーションを披露いたしました。
厳正な審査の結果、慶應イノベーション・イニシアティブ(2016年に設立された慶應発のベンチャーキャピタル)社長である山岸広太郎審査委員長より審査結果が発表されました。
学生部門で優勝を勝ち取ったのは、東京オリンピック開催に合わせた外国人向けの遠隔診療を提案したチーム「DocTravel」です。
医学部の2年生を主体としたチームで、学生部門の中でも最年少のチームでありましたが、時流を捉えたことはもちろん、学生ならではの柔軟さが勝因となりました。
社会人部門で優勝を勝ち取ったのは、独自開発のソルトチップを活用した減塩プランを提案したチーム「L Taste」でした。
このチームの主体は理工学部の博士課程の学生ですが、チームメンバーには所属する理工学部研究室の准教授や他大学内科学の教授を加え、確固たる研究成果に裏打ちされた、まさに大学発ベンチャーの王道として優勝の栄冠を獲得しました。
また、ご協賛頂いた日本マイクロソフト社による特別賞には、社会人部門からチーム「Epigno」が選ばれました。
このチームは慶應ビジネススクールに通う医師を中心としたチームで、人工知能を活用した手術室の稼働効率化のプランを提案しており、医療現場の働き方の改善に繋がる点が評価されました。
表彰台に立った3チームのほか、大会参加の全10チーム、そして応募のあった70チーム、いずれも劣らぬポテンシャルとパッションが光っており、観覧者にとっては健康医療領域における大学発イノベーションの息吹を肌で感じられる1日になったものと思われます。
慶應義塾大学医学部として、真にグローバルで活躍できるリーディングベンチャーを輩出するための今後の課題が認識されるとともに、コンテストという形式の枠に捉われず、大学の強みを活かしつつ官民協力し、さらなるベンチャー育成の仕組みを創り出していく必要性が再認識されました。
<審査委員>
青山 藤詞郎 慶應義塾大学 理工学部長/ 理工学研究科委員長
大石 佳能子 株式会社MEDIVA 代表取締役社長
河上 裕 慶應義塾大学 医学研究科委員長
河野 宏和 慶應義塾大学 経営管理研究科委員長/ ビジネス・スクール校長
中村 慎助 慶應義塾大学 経済学部長
村井 純 慶應義塾大学 環境情報学部長
山岸 広太郎 株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長
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